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「ほろ苦い経験」  

 
日野 春代
 

  一昨年の夏のことです。我が家に近い駅ビルにあるAデパートで改装前全館一掃セールをしていました。通りがかりに覗いてみると正にセールの真っ只中、いつもあるハンドバック売り場も階を変えて紅白幕の中でセール中。ちょうど旅行にぴったりの7000円程の小さなナイロン製ショルダーバッグ見つけカードで購入しました。

  2日後たまたま、銀座のBデパート1階を猛暑を避け涼みがてらに通っていると2日前に買ったバックがパッと目に入りました。どれ位安く買ったのかと期待をもって見るとなんと同じ値段でした。定価というのはないことも知っていますが、でも、本音は騙されたという気分です。お客様相談室に「値下げはされていなかったのか。値下げ商品でもないのなら返品したいが可能か」と手紙を書きました。すぐ室長という方から電話がかかってきました。「Bデパートを早速調べましたところ全くご指摘の通りで本当に申し訳ありませんでした。私どもの業者?卸し?(業界用語でよく分からなかった)〜 の手違いでした。早速改善するよう指示をし、対処いたしました。そして返品も可能で来月の返金になりますが手続きをしました」との事でした。2.3日後に来た返金伝票には丁寧な手紙が同封されていました。

  およそ10日後、通りがかりにAデパートに立ち寄りました。バック売り場は更に階を変え、売場も縮小してセール真っ只中。またもや例のバックがパッと目に入ってしまったのです。全く値段をかえず、堂々と紅白幕の中でセール中。一体、あの丁寧な電話と手紙の、「改善しました」は何だったのか。ガッカリしたと同時に見てはいけないものを見てしまったと、こちらの方がドキドキしてしまいました。

  しかし、私もすっきりしないものを抱えてしまいました。問題のハンドバックは「貴重な情報を教えていただいたのと大変ご迷惑をかけたのでそのまま使ってくださいと業者より申し出があったのでぜひ使っていただければありがたい」との言葉に「使う気はないけれど持って行くのも、送り返すのも面倒、バザーにでも出せばいいか」くらいの気持ちで受け取ってしまったことです。貴重な情報を頂いたのですからと強く言われその気になってしまった自分の甘さを思い知りました。返金伝票がきた時点で返品すべきだったのです。時機を逸してしまい結局返せず問題のバックはタグをつけたまま押し入れ深くバザーの出番を待っています。文句をいうお客にはこの程度の対応でと思われたのか?この程度の消費者にはこの程度の対応?これでは全く同じ穴の狢ではないかと。

  企業のCSを考える以前に消費者として、考えさせられるほろ苦い経験をいたしました。