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「癒し系の時代」  

鳥居 順子
 
 
 タレント,音楽,インテリア,マッサージなど今「癒し系」がブームです。敢えて 「癒し」ではなく「癒し系」という言葉を使っているのは本当の意味での「癒し」(つまり 病気・苦痛を治すということ)ではなく,そのような雰囲気,気分を味わうという ファッション的な要素が強いと感じているからです。

   実際に本当に癒しが必要な人はごく一部であり,多くの日本人は健康面,心理面共 にある程度の満足を得られているのではないかと思います。  

 これを読んで「そんなことはない。自分は心身ともに疲れきっていて癒しが必要な んだ」と思った人がいるかもしれません。そんなあなたは何をしますか?  

 ある人はヒーリングミュージックのCDを聴きながらアロマテラピーをするかもしれ ないし,またある人は温泉旅館に出かけてマッサージやエステを受けているかもしれ ません。

 ここで重要になってくるのはこれらを行うには時間とお金がががるということで す。このようなことにお金をかけるようになった背景にはある程度の時間的・金銭的 な余裕がある人が増えているということと,そのお金を快適さを得るために使ってい るということです。

 つまりより一層の心地よさを求める豊かな日本人が「癒し系」ブームを支えているの です。それではこのような日本人にどういった商品を提供したらよいのでしょうか?  

 究極の快適を求めるには「衣食住」と「五感」のすべてを総動員して考えなければな りません。例えば,「おいしいお茶を自宅にいるような空間で飲みたい」とか「足が疲 れにくくてもおしゃれな靴が欲しい」といった相反するような要求を同時に満たすこ とが必要になってきます。ここでは「美」「健康」「くつろぎ」といった要素が快適さの キーワードになっています。

 そして快適さを求める消費者の要求は細分化し,その要求は内面的精神的なもの で,なかなか表面には現れにくくなると考えられます。このような複雑な要求に応え るためには商品を提供する側の発想力とその発想を実現するための商品開発力がます ます必要となってくるでしょう。