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「・・・顧客不満足」  

日比野 恵理子
 
 
昨年、高金利時代に預けた郵便貯金が満期を迎えたのをきっかけに、初めての株式投資をした。しばらくしてこの株が値上がりし始めた。 N証券の担当者は値が上がる度に電話をしてきて、「今が最高の水準だと思いますので、売却されることをお勧めします。 今は、少しでも値が上がれば売却して、また新規株を購入するほうが賢い選択だと思います。」と言った。 しかし、私としては、自身の勉強の為に長期運用を踏まえて始めたので、すぐに売却するつもりはなかった。 数回の電話の後、売却を勧める電話はかからなくなった。

 それから半年あまり、担当者からのコンタクトは全くなかった。ところが、ある晩、 「新規公開株で今後有望な○○があるのですが、今からFAXに目論見書をお送りしますので、 一度目を通してご検討ください。」とN証券の担当者から電話が入った。 あまりにも唐突な電話と折りしもアメリカでテロが起きた直後で、新聞でも新規店頭公開株への 投資家離れが取り沙汰されていたこともあり、私はこの電話を素直に聞くことが出来なかった。 当然、この話には全く興味が湧かず、私の中では担当者への不信感のみが増した。 ただ、投資信託などにも興味があったので、それに関する資料を早急に送ってくれるようにお願いした。
しかし、いくら待っても担当者からの資料は届かなかった。

 先週、また電話が入った。 「来年4月からいよいよペイオフが始まりますね?そこで、今、公社債投信が比較的安全なのでお勧めなのですが、 近いうちに満期になるご予定のものや満期になったものはありませんか?」 ・・・私は、呆れて物が言えなかった。担当者は、恐らく何も感じていないだろうがこれまた あまりにも唐突な営業ではないだろうか?しかも、前回同様に新聞やTVでエンロン債がらみのMMFの元本割れ 及び解約殺到が取り沙汰されている時である。

 AFPや消費生活アドバイザーでの勉強があったから、ペイオフについてもある程度把握でき、 金融商品に対しても大まかな知識があった。でも、もし何も知らなかったらと思うと怖くなる。 また、今年4月に施行された「金融商品販売法」に抵触しないすれすれのセンでのセールストーク (太字で書いた部分)を思い出すと憤りを感じるのはおかしいだろうか?N証券のお粗末な従業員育成には 大いなる顧客不満足を感じると共に、消費者は自己責任を踏まえた賢い消費者になるべく勉強をする必要性があると痛切に感じた。