TOPICS61 もどり

「中国! そのサービスの行方 その1」
 
 
高橋 輝子  

 
中国では、日本の流通業の進出が相継いでいます。上海では、成功事例として伊勢 丹やローソンのように着実に根付いてきている日本の流通業ですが、中国の首都・北 京では一体どうなのでしょうか。これが今回の旅の目的の1つでもありました。
 ここでは、日本では優良企業とされている「イトーヨーカドー」と破綻に追い込ま れた「そごう」について、実際に見てきた感想をお話しします。



 その前に、中国のサービス事情についてお話ししておく必要があります。行ったこ とのある人なら誰でも感じると思いますが、お店に入っても、「いらっしゃいませ」 「ありがとうございました」のあいさつはまったく無いのが普通です。もちろん、笑 顔での対応も考えられません。この人「つまんなそう…。」「怒っているのかな?」 「あんた、やるきあんの?」という印象を受けます。しかし、「これが普通なん だ。」と頭に入れておかなければ、いちいち腹を立てることになります。
 それでも滞在中、ひどい目に何度かあいました。
 私達の宿泊したのは、日本円でも1泊、2万7千円の三ツ星ホテルです(友人のつ てで私達は7千円でしたが)。客層は、ほとんど欧米人です。私はAIR MAILを出そ うとフロントへ行きました。しかし、郵便の担当窓口には行列ができていたので、暇 そうにしている他の従業員にお願いしたところ、「だめだ、そっちに並べ」(雰囲気 的にこんな口調)と言われしぶしぶ並びました。がしかし、そのはがきは3週間たっ た今でも誰の家にも届いていないのです。どういうことでしょう?
 こんな事もありました。朝食のためレストランに行きましたが、時間帯的にとても 混雑していました。どうしたものかとウロウロしていたところ、廊下にテーブルが運 びだされてきました。まさかと思いきや、私達は寒い廊下で通りの人の視線を浴びな がら、朝食を食べるはめになったのです。次の日から朝食時間を早めたのは言うまで もありません。客室数的に明らかにレストランが狭いこともありますが、せめて、隣 にラウンジがあるのだから、そっちで食べたかった…。外観も内装もすばらしいしい のに、サービスは中国事情そのものでした。
 また、北京最大のショッピングセンター「新東安市場」でチャイナドレスを購入し た時のことです。既製品でしたが、私の身長に合わせるため、縫製する必要がありま す。それにどのくらい時間がかかるのか尋ねたところ、「10分」と店員は答えまし た。その位だったらと、店内のいすに座って待っていました。待ち続けました。もと もと10分は早過ぎるかなと思っていましたが、30分たっても出来上がりません。 その都度、店員に「まだ?」と尋ね、店員は「あと5分」と答えるやりとりを何度か おこない、ようやく1時間後出来上がりました。だったら、はじめからかかる時間を 正確に伝えてくれれば、もっと有効に買い物ができたのに。と、ここでも日本のサー ビスを望んでしまう自分がいました。
 これらの中国のサービス事情を踏まえ、次回、日本企業の奮闘ぶりをご紹介しま す。