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「スーパーの年中無休・営業時間延長は本当に必要か?」

鳥居 順子


 「消費不況」と呼ばれて久しい現在でありますが,中でも総合スーパーを取り巻く環境は出口の見えない状況が続いています。
 そんな中,先の「大規模小売店舗法」の廃止を受け,年中無休・営業時間の延長に踏み切った店舗が増え,深夜11時,12時まで営業している店舗もめずらしくはありません。
 
 私は現在,頻繁にスーパーを利用する立場にありませんが,たまに立ち寄ると曜日・時間を問わず,買い物客の少なさに驚かされることが多々あります。他人事ながら経営状況を心配してしますほどです。

 そして同時に驚かされるのが,従業員の少なさです。何かを聞こうとしてもすくに店員さんが見つかることはめったにありません。特に食料品売場以外はひどい状況です。レジ付近にも人が居らず,会計を済ませることに苦労させられることもあります。

 どうしてこのような状況になってしまったのでしょうか?

 まず買い物客の減少ですが,経済統計を見ても明らかなのがディスカウンター・コンビニエンスストア・各専門店への流出です。多くの消費者は車でロードサイドの専門店をハシゴしたり、その日,その瞬間に必要なものをコンビニエンスストアで買い求めるという新しいライフスタイルに知らず知らずのうちに転換しているのです。

 そこで,他業種に買い物客を奪われてしまったスーパーが売上回復のために採った方策が定休日の削減(廃止)と営業時間の延長です。単純に空けている時間を増やせば,売上は増えますが,それに伴う問題も多く発生しています。

第一の問題が売場の人員対策が全くなされないまま,ただ営業時間だけ増やしているということです。多くの場合,早番・遅番を組み,交代制で勤務をしてますが,営業時間が長くなれば長くなるほど単位時間あたりの売り場にいる人数は減ることになります。それに加え,早番・遅番の両者が揃って仕事をする時間が減ることにより,従業員同士のコミュニケーションがうまくいかないという問題も発生します。

 第二の問題は営業時間の延長に対応した商品政策がなされていないことです。例えば,閉店間際に買い物に行っても買いたいものは既に売り切れているといったことです。このことは深夜に買い物に来てくれた新規のお客様を政策ミスで逃していることになり,せっかくの時間延長が全く生かされていないということになります。

 このような結果,せっかくの時間延長も売上のアップにはつながってはいません。それどころか新規顧客の獲得に失敗したうえに既顧客の満足度も上記のような理由で低下させてしまっているのではないかと思います。そして閑散とした店内で働いている従業員の満足度も低下しているのではないかと思います。
 
 このような状態では本当に「ただ開いているだけ」です。お客様がこなければ煌々と輝いている電気や人件費も全部無駄に終わります。利益をあげなければ投資もできません。今すぐ対策を立てなければこの悪循環は永遠と続いてしまいます。

 何だか限界に来てしまった観がある流通業ですが,中で働いていた私からするとまだまだ仕事に無駄もありますし,改善の余地があると思います。

 もう一度,原点に返ってお客様のためのお店になるために動き出して欲しいと思います。