「ト、ト、ト、トイレが無い!! (交通アドバイザーになろうかな?その1)」
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手島 伸夫

大量生産により“もの”が過剰となり、消費生活においてサービスの重要性は、ます ます高まっている。そんな中で、今回も「公共交通サービス」に関して感じたことを 書いてみる。(このコラム欄で、特定の企業名を上げるのは問題があるかもしれない が、誰でも実証体験できる公共交通では、むしろ問題点を明確にするのに必要ではな いかと考えてあえて企業名を記した。)
さて、私は東急東横線の大倉山駅から地下鉄六本木駅まで、毎日通勤している。東横 線というのは、雑誌の特集では「住みたい沿線No1」にランクされ、その沿線住民 の平均所得額も高く、今風に言えば“セレブの路線”ということになるだろうか。
しかし、その母体となる東急東横線に、とんでもない欠陥がある。それは、「トイレ が無い駅」があるという驚くべき事実なのである(みんな知らないでしょう!)。 普通、多くの人が出入りする「駅」には、必ずと言っていいほど「トイレ」は常設さ れている。私は、法律で設置がちゃ~んと決められているものと思っていた。しか し、東横線大倉山駅には、それが無いのだから、法律では決められていないようだ。 でも、常識としては・・・・・・!
大倉山駅は、ギリシャ風の大倉山記念館もあり、また梅林公園を訪れる人も多いが、 外部から来た人はトイレの有無など考えたことも無いであろう!それが、駅に降りて トイレに行こうとした時、無いと分かった乗客の驚きと、慌てかたは想像に絶するだ ろう。私が、このことに固執するには次のような歴史があるからである。実は、駅を 改修する前に、怒った客から新聞に抗議の投書が出された。東急線は、その時になっ て仕方なく「駅員詰め所の中のトイレでよろしければ、お申し出でください」とい う、なんとも恥ずかしい貼り紙を出したのである。自分達だけの駅員専用として、当 時も客に知らせずに長い間所有していたのである。
それから数年後、大倉山駅は高架下を大幅に削り「駅そば」「喫茶」「東急系大型デ リカ」「駐輪場」などを作り大改修をしたのである。しかし、驚くことに新しい駅の どこを探しても「駅トイレ」は無い。そして、駅裏に横浜市の「公衆トイレ」なるも のが作られ、そこを使えというのだ。その名前がまたすばらしかった。関係者の苦心 をうかがわせる。わたしは、わざとここでは書かないので、是非皆さんも一度来て 「このトイレの名前」を自分の目で確認されると良い。
ここで、分かったのは「東急電鉄」は駅構内にトイレを作らない「確信犯」であった ということである。「公衆トイレ」と「駅構内のトイレ」は、安全性、管理の面でも 因泥の差があり、けして代替品にはならない。事実、現在も公衆トイレは、管理が悪 く、いたずらによる破壊がひどく、場所も女性ならずとも、安心して利用できる環境 ではない。当家の子どもは、小さい頃は怖がって、ここを使わずコンビニか、マクド ナルドを使わせてもらっていた。
しかも、大倉山駅は、毎日数万人が利用するのに、男子用では個室は1つのみで、児 童公園にある程度のものである。そして実は、今でも駅員専用の秘密のトイレがある ようだ。なぜなら、公衆トイレは、四六時中汚れたり、壊れて使用できなかったりす るが、駅員は困らずに日常業務をこなしているからである。いってみれば、それは横 浜市清掃環境局の責任問題で、東急電鉄には無関係ということであろう。乗客が困っ ても、無関係なのである。
きっと東急電鉄の首脳層では、「駅員はトイレ掃除のためにいるのではない。駅員は 鉄道交通のためにいるのだ!」と、こんな会話がされているのではないだろうか。そ う考えるとこの「確信犯」が理解できる。いや大倉山駅より、もっとひどかったの は、都立大学か、学芸大学である(正確にどっちかは、馬鹿馬鹿しくて忘れたが・ ・)。駅の改札から数十mも離れた所にある「公衆トイレ」を使わせていたのであ る。急ぐ時には、走って行かなければならない距離だった。ここまで来ると「確信 犯」というより、「常習犯」と言うほうが正しい。あれほど、東急電鉄の経営陣の 「悲惨な頭脳」を表していた物はないだろう。
東急電鉄は、顧客の困惑にも知らん顔にもかかわらず、最近「サービス向上運動」な るものを行い、乗客アンケートモニターの調査もしているようだ。しかし、「活動し ます」という広告は多く見たが、その結果どうなったのかはさっぱり見かけないのは 当然である。 『顧客満足の向上』を考える前に、『不満足要因を充足』することが優先なのは常識 である。実は、大倉山駅には、トイレを作るスペースは充分にあるのである。やるべ き事もやらずに、他方で「サービス向上運動実施」を宣伝している精神構造が不思議 だ。こんな基本的なことも「アンケートしないと分からない」のだろうか??
さて、折角であるからトイレ問題を離れて、他の電鉄にも共通の話になる提案を一言 したい。私は、通勤に先頭車両か、2両目に乗ることにしている。そうすると時々面 白事が起きる。車掌が「この先、電車が揺れますからご注意ください」とアナウンス した時には、先頭車両では大きく揺れて、人の足を踏んだり、他人によろけて嫌な顔 をされていたりするのである。つまり、一番後部車両の車掌は、自分を基準にしてア ナウンスしているか、アナウンスが遅れてしまったのだろう。「顧客満足」ならず 「自己基準満足」である。満員通勤をしている人は、痛感しているだろうが、何処で 揺れるかが分かれば、かなりギュギュウでも、その瞬間にどこかに捕まればいいので あるから、他人に迷惑をかけず、従って体は楽なのである。揺れる場所は、線路とス ピードで決まってくるのであるから、あらかじめコンピュータにセットして、車両ご とに逐次アナウンスすれば、乗客は少し快適になるはずである。
そんなことをしたら、車掌のやることが無くなるという意見がありそうだ。その通 りなのである。実は、車掌のナマの声で放送している多くの電車では、その内容が聞 きにくいことがある。むしろ、録音された放送のほうが、余程聞き取りやすい。車掌 の仕事としては、唯一の仕事になりつつあるアナウンスの声の大きさや、発音の明確 さの教育をなぜしないのか、これも不思議である。 車掌の仕事として、ドアーの開閉が、彼らの一番の仕事のようだが、実は東横線と平 行して武蔵小杉から、田園調布まで並行して走っている地下鉄は、ワンマン運転で、 車掌がいなくてもドアーの開閉に困ってはいない。このドアーの開閉について、抱腹 絶倒の話があるが、それはこの次の話題にしておこう。
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