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銀座に不思議な旅館

手島伸夫



 ◆ 銀座に不思議な旅館
 銀座の三丁目に「シックスハウス症候群を防ぐ藻土の壁」「無農薬のい草」を使った
 旅館・吉水(よしみず)がある。にぎやかな中、足元の小さな看板を見落とすと行き
すぎてしまうほど、ひっそりとある。
 女性中小企業診断士の勉強会である「アミの会」で、8月4日に女将のお話を聞き、
 有機野菜で作ったお食事をいただくというので参加させてもらった。
 鴨志田さんをはじめ、アミの会の幹事の方々、ありがとうございました。
 (CSネットでお礼を言っても仕方が無いのですが・・・・)
 さて女将は、このために京都から、わざわざ駆けつけ、翌日には加賀に飛ぶという多
 忙な中、笑顔を絶やさずその“こだわりの旅館”を作った『想い』を語ってくれた。
 
 ◆ 自然のままに、何もしない
  気が付くと男性も作務衣で無駄が無い。「藻土の壁」も「無農薬のい草」も「竹の
 床板」も説明を聞かなければ分からない。
 入り口に置いてある塗りの無い「白木の長持」が印象的で、自然の材料に囲まれてい
 るのはなんとなく分かり心地良い。
 部屋には、冷蔵庫もテレビも無い。お風呂も、普通は、最上階のお風呂である。
 
 ◆ 京都円山の古旅館をいきなり買う!
 社長は、大学卒業後、父の経営する繊維メーカーの経理を担当。結婚してアメリカへ
 行きナチュラルライフのすばらしさを知る。帰国後も夫の印刷会社を手伝う普通の人
 だった。
 偶然に、京都円山公園の中に築100年の数奇屋造りの旅館が売りに出されたのを知
 る。他に買われたのでは解体されてしまうと思い、家族にも相談せず、あとさき考え
 ずに、いきなり買ってしまったという。この旅館を「宿泊と朝食のみ」のシンプルな
 旅館として再出発させたら、口コミで固定客がついた。外国人も多い。その成功を発
 信するために銀座に開いた。
 
 ◆ 60兆の細胞がお互いを交換
 有機野菜の仕入先の農家は、山形、和歌山など各地に飛ぶが、すべて一度顔を合わせ
 て買うという。多くの農家は、「無農薬では、いいものができない」と言う。しか
 し、そこでの「いいもの」とは、「形のいいもの」でしかない。
 この発想の切り替えが、組織に生きている男達にはできない、と言い切る。便利さに
 慣れ過ぎて感性が鈍くなっている現代人に、社長はシステムではなくて「何でも自分
 で経験すればいいのに」という。マネジメントシステム情報を発行する私にとって、
 貴重な警鐘である。
 地階には、小さなホールがある。「人の集まれる場を作れ」と言った母親の名を付け
 た。ここもまた「60兆の細胞がお互いを交換する場」であるという。

 ◆ 国民宿舎の再建民営化の中で
 社長は、今年石川県加賀市にある国民宿舎の民営化コンペに応募して、そのコンセプ
 トが認められ7月から営業を始めた。もちろん自販機テレビ・冷蔵庫はすべて捨てた
 が、豊富な自然に囲まれたそこでは、単に安いシンプル宿舎ではない。
 子供がひと動きしてからの朝食提供、親子が会話する「大皿朝食」など、暮らし方
 や、生活文化提案に踏み込んだ旅館にしてゆくという。
 
 ※ あなたも東京出張の折に銀座・吉水を利用してみてはいかが。1泊10,600円よ
 り。2階で食事のみ利用もできます。