ユニバーサル・ファッション協会の理念と活動
ユニバーサル・ファッション協会 森 秀男
はじめに
ユニバーサル・ファッションとは、一体いかなるものであるのか。何を目指し、何を求め、何を達成しようとするものであるのか。
それは、どれほどの包括性と影響力を持っているのであろうか。ユニバーサル・ファッションについて考える時、
様々な想いが湧き上がる。
現在、筆者は、ユニバーサル・ファッション協会の運営委員会において、協会の思想と理念のもとに、今井会長、鈴木事務局長、
そして多くの運営委員と事務局の方々と、意見や考えを提示し、学び合い、そして全員で協力しながら、
ユニバーサル・ファッションの啓蒙と普及活動を続けている。
しかし、その前途には、きわめて多くの研究課題と調査分析するべき事項があり、我々の活動はその端緒を開いたばかりである。
ユニバーサル・ファッションは、あたかも山岳地帯の高峰のような姿で、無言のままに、我々の眼前にそびえ立っている如くに
感じられる。
このトピックスは、ユニバーサル・ファッション協会の理念と活動状況、その存在意義を考察し報告するものであり、
ユニバーサル・ファッションに関する理解を一層深めていただくための、一助となることを願うものである。
【ユニバーサル・ファッション協会の理念】
ユニバーサル・ファッションとは?
ユニバーサル・ファッションは、一つの思想であり、また、商品・サービスをも意味し、その両者を包含したものである。
(理念・思想)
年齢や、体型、障害などによって差別されることがなく、また、全ての人がファッションを楽しめる様な社会を、
最終的に創造することが理想であり、そのためのあらゆる活動と貢献をすることを、協会の理念としているのである。
換言すれば、すべての人間は、ファッションを楽しむ固有の権利を持つのであり、その実現に向けての啓蒙、普及活動を通して、
生活者、業界、社会に貢献しようとするものである。
しかしながら、現在の日本のファッション業界は、この点でまだ十分に対応できてはいない。生活者や顧客のニーズと
ファッション業界の現実との距離を埋めて、本来あるべき姿に近づけて行こうとする、その意思と行動過程において、
ユニバーサル・ファッションの実践的な理念がある。
(商品/サービス)
一般の生活者である健常者と、身体が不自由な障害者や高齢者が共に楽しめ、使用し、利用できる「共用品/サービス」
としての役割と意味を持つものとしての、広義のファッション商品であると規定するのである。それは着脱し易いデザイン
だったり、保温性を持たせて高齢者に快適さを配慮したユニバーサル・ウエアや、足に優しいコンフォート・シューズなどの
ユニバーサル・グッズなどであったり、また、身体や眼の不自由な方たちが、買いやすく見やすい店舗と接客であり、
その他の関連する多様なサービス活動でもある。
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