TOPICS49 もどり
「街づくりとCS」
宮澤 洋子 |
1. 進む市街地空洞化 長野市といえば善光寺、信州そば、風光明媚な自然と思いをはせる方も多いだろう。 とくに善光寺から長野駅までの「中央通り」は古くから善光寺参りの参拝客を中心に栄えたいわば長野市のメインストリート。しかし3年前に冬季オリンピックが開催された時をピークに観光客も減り、善光寺を中心とした観光・コンベンション都市だけでは人をひきつけられない状況になっている。そこへ追い討ちをかけるかのような昨年のそごうの倒産により、「中央通り」の一角にあった長野そごうは閉店となり文字通り中心市街地の空洞化は坂を転げ落ちる形ですすんでしまったかのようである。しかし、話はここ長野市だけの問題ではなく、全国18,000商店街のうち実に96%以上が沈滞化している。 2. 商店街としての魅力 中心市街地が再生するには、@ホスピタリティ(もてなしの心)、Aサービス、Bエンターティメント(お祭り・イベント)の3点が要素になる。魅力のない街にお客さまが足を向けないのはごく当然のことで、地方都市特有の自動車社会の発展や流通構造変化の結果でもある。商店街の一店一店のお客さま志向の向上、また中心市街地を地域の顔ととらえた行政施策・市民全体のサポート活動や、市民の観光客に対する意識向上(観光客は市民から見れば顧客)が根底に必要である。まず商店・市民ともに笑顔で観光客を迎え入れることから始めたい。長野市に来ていただいた方に幸せ・喜びを感じていただき、去り行く時に「もう一度訪れたい」という気持ちを残していただけけるよう街と市民が良いパートナーシップで取り組むことが必要だ。商店が「お客さまを愛すること」、市民が「自分の街を愛すること」それなくしては始まらない。 3. 行ってみたい、歩いてみたい街へ これからは「何でも揃っているが欲しいものが何もない店」よりも「こだわりを持ってつくられた逸品がある店」が人をひきつける店になるのではなかろうか。さらにそれを売る側の高い商品知識や商品への愛着、使い手側を想像したサービス心なくしては中心市街地の一等地に暖簾をかまえていても衰退はまぬがれない。「あの店であの品を買いたい。」「今日はゆっくり歩いてみたい。」と、思えるような街や小路を将来構想にもとづきデザインする取り組みが早急に必要と感じる。 |