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タイトル:「臨機応変な接客って、難しい?」 島津 淳子
あるカフェに入った時のことです。アメリカから進出してきたチェーンで、オーダー後しばらく待って注文の品を受け取るシステムのお店です。支払いを済ませたところで、レジの方から「出来あがりましたらお名前をお呼びしますので、お名前を教えて頂けますか?」と言われました。同じシステムのカフェは多いですが、名前で呼び出してくれるところは初めてでした。名乗るのを嫌がる人も中にはいるかな、とは思いましたが、私は気持ちのいいサービスだと感じたので、「島津です」と名前を伝えました。
しばらくして、カウンターから「島田様!」と呼ぶ声が聞こえました。私のことかとも思いましたが、様子を見ていました。カウンターからは一段と大きな声で「島田様ぁ!」と呼ぶ声。3回、4回と繰り返され、その度に声は大きくなります。声をかけようにも、間断なく呼び声が続きます。お店中の人々が、カウンターの店員さんの方を向いています。仕方なくカウンターに近寄り、「島津ですが、私のことでしょうか」と尋ねました。店員さんは、「はい」とも「いいえ」とも言わず、困ったような顔で注文のコーヒーを差し出してきました。自分のオーダーした品に間違いないようだったので、受け取って席につきました。
店員の方は、ほとんどが学生アルバイトのように見受けました。動作はきびきびしていますし、基本的に言葉遣いや応対もしっかりしていて、接客の教育はかなり厳しく受けている印象です。店内もきれいで、ゆっくり寛げる工夫が随所に見られます。好感の持てるお店であるがゆえに、いい気持ちのしない出来事がクローズアップされてしまいました。
人件費削減のために、ファーストフードやカフェを中心に接客にアルバイトを雇うケースは多いようです。このところ、以前のようなはっきりとアルバイトとわかるような下手な接客は減っています。徹底した教育の賜物でしょうか。いかにも機械的と思われる接客も減っています。しかし、CSというのはお客様ひとりひとりへの対応が基本です。ファーストフードのお店にどこまでの接客サービスを求めるかとの問題もありますが、常識的な範囲で臨機応変な態度をとるくらいの柔軟性は欲しいものです。いかに学生アルバイトといえども、お店の教育を受けていなければ、かえって普通の応対は出来たかもしれませんね。
この話には後日談があります。それからしばらくして、そのお店に立ち寄りました。名前で呼び出すサービスはなくなっていました。帰り際、「ありがとうございました」の声はかかりませんでした。接客・サービスは形やノウハウではなく、心がけや気持ちです。これを店員に教え、徹底する難しさを実感しました。
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