TOPICS27  もどり

☆タイトル「 大豆からみた農業の問題 (第一回)」  
島村 治雄

旧蝋11月にN様のご依頼で東北大豆フォーラムでパネリストを勤めました。
そこから気付いた農業の問題をわかりやすく述べたいとおもいます。

基本的に今の農業はほとんどが助成金を柱とする国の保護のもとになりたっている ことはご承知のとおりです。
大豆については、米の減反政策を補完する代替作物として、麦とともに重要品目になっています。 つまり米の生産を縮小して、変わりに麦や大豆を作ってくださいという方針が国 (農林水産省ということですが)から出ており、そのため大豆の消費を拡大するには生産者、農協、 業者がどのような施策をとるべきか方向付けを考えようとするのが今回のフォーラムでした。

まず大豆の生産、消費の大まかな状況を説明します。日本で消費される大豆は年間500万トン、 そのうち380万トンは製油用、100万トンは食用に消費されます。製油用の大豆は国産品では 価格の面で太刀打ち出来ず輸入大豆に頼っています。食用大豆100万トンのうちでも醤油、 味噌用大豆は原形をとどめず加工されるのでやはり価格面で輸入大豆に太刀打ち出来ない状況なので、 残る豆腐、納豆、煮豆用に消費される大豆65万トンについては味、形、色、の品質の要素がつよく、 助成金を補填しても国産価格は輸入大豆よりも高くはなりますがなんとか競争に耐えうる状況になっています。 国産大豆の生産量は14万トンであり豆腐、納豆、煮豆のシェアではまだ拡販の余地があるので、 その分野を目標に農家への生産増強を求めようとしています。

しかし、大豆の生産性はまだ悪く、連作ができない、麦と大豆を交互に栽培するにしても 麦収穫期と大豆播種期が東北では重なる、利益が少ない、などの問題点を抱えているので品種改良を 急がなければならないことと加工業者、消費者との交流を盛んにして、よりおいしい、より安心出来る 国産大豆のイメージを向上する必要があります。つまり生産者、加工業者、流通業者どの分野でも 改善をしなければならない現状です。

この現状から第一回は消費者への提案をしたいと考えます。
日本の食文化のなかで大豆はおおきな位置を占めています。調味料として味噌、しょうゆ。 蛋白源として豆腐、納豆、油揚げ。精進料理という特別ジャンルの料理の主役として。 したがって味をもとめるには大豆のおいしさも追求してほしいものです。
遺伝子組み替え問題、ポストハーベスト問題、などを考えると、海外からの大豆には問題が あることはわかりますが、もうひとつ環境問題を考えると海外から輸入する輸送にはエネルギー消費が からむので、 結局国産食物を活用することが一番環境にやさしいことになります。『身土不二』 という言葉があります。 人間は育っている土地と分かちがたいもので、その土地で取れた食物が 一番のご馳走になるという意味です。 地場で取れた新鮮な食べ物で、作った人の顔が見える情報を 与えてもらい安心して食べることができることほど グルメというべきではないでしょうか。安心、 信頼を買うとすれば、輸入物より価格が若干高くてもひきあう ものではないかと考えます。 今日本酒において地方の銘酒が、灘の酒より喜ばれているのは、その地の米、水、 を使い丁寧に仕上げているからでしょう。 今回のフォーラムでも岩手県の『がんぐい』という黒大豆は丹波の黒豆 に勝るとも劣らないことを知りました。 そのように大豆においても地方独自のおいしい品種が日本酒のように 受け入れられる日がくればよいと考えています。

また、盛岡は日本一のお豆腐の消費地であるとのことです。たしかに盛岡のI様の経営するホテルの朝食で 食べた豆腐はほんとうにおいしかったです。お酒と同じように地場の大豆と水で作られたものは よその追随を許さないものになるのでしょう。 『身土不二』の考えが行き渡るには生産者からの情報を きちんともらう必要がありますので、まだ難しい点が多くあるとは思いますが、消費者がまずその意識を もつ事が第一歩と考えますので提案する次第です。