大井 なおみ
 
先日渡米以来5年ぶりに引越しをしました。その際、思い切って不要品を大量に捨てましたが、最後まで処分に迷ったのが子供たちの日本語の教科書です。
アメリカ滞在中の日本の教科書は日本総領事館から無償で配付されます。総領事館は在留届に基づき、年2回(4月と9月)学齢邦人子女数の調査を行い、外務省に報告します。文部科学省はこの数に基づいて教科書を手配し、外務省を通じて総領事館に送付しています。私の子供たちは日本語補習校に通っているので、学期ごとにクラスで全教科の教科書を受け取ります。ところが、補習校での授業は国語と算数だけなので、その他の教科書は開きもせず部屋の片隅に放置されていました。
ボストンでは日本語の本、雑誌類は高価でとても貴重なものです。不要となった書物は補習校の図書館に引き取ってもらい、ブックセールなどで再活用できるのですが、教科書はそれもできません。かといって日本から複雑な手続きを経て送られてきた新品の教科書をリサイクルごみにするのは大変気がとがめます。結局5年分の教科書を1つのダンボールに詰め込み地下室に保管することにしました。
一方、ボストンの現地校では教科書はすべて学校から貸与されます。こちらに来てまずその教科書の立派なことに驚きました。すべてハードカバーで図鑑なみに大きくて分厚く、内容も豊富なのです。子供たちはまず教科書を持ち帰り、丈夫なカバーをかけてから学校のロッカーに保管します。重いので普段は学校に置いておき、宿題やテストなどで必要なときだけ自宅に持ち帰ります。国語の授業では年に4冊ほど小説を読みますが、それらの単行本もすべて学校で保管し、何年も繰り返し使用しています。紛失した場合は実費を弁償しますが、数10ドルもする高価なものもあるので取り扱いには十分注意しなければなりません。
日本では教科書を個人で持つのが当然と思っていました。新品の本をもらえるのがとても嬉しく、愛着がありました。でも、毎年大量の教科書が使い捨てされるのは大いに疑問です。アメリカのように貸与制にして繰り返し使用すれば無駄もなくなり、本を大切にする習慣が身につくのではないでしょうか。また、アメリカでは大学生協でもUSEDのテキストが、新品と並んで販売されています。アンダーラインや書き込みがあるものを選んで購入する学生もいて、値段も割安なのでよく売れています。アメリカは大量消費、大量廃棄の国で、資源の無駄遣いが多いと指摘されますが、教科書の取り扱いについては学ぶべき点も多々あると感じました。
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