山下加津子

お客様に充分な人的サービスを提供するためにも、また、職場の中でミスや事故をせずに効率的な業務をするためにも職場内の人間関係を良好に保つことは重要であると思う。昨年まで8年間にわたって多くのパートタイマーの方々と同じ職場で過ごしてきた経験から気づいたことを挙げてみる。
管理者として気をつけるべきこと
まずは、管理者と管理される側との人間関係を円滑にすることが大切である。サービス業では昨今多くのパートタイマー労働者やフリーターを活用するケースが増えているが、その方々を管理するために正社員が若干名配置されているのが一般的ではないだろうか。ここでまず、賃金の格差や有給休暇、長期休暇など労働条件面でギャップが有り、心理的に正社員に対する風あたりは強いのが普通である。
しかもお客様に忙しく接し、息つく暇もないのに、忙しい時間に限って正社員は座って事務的な仕事をしているというのでは人間関係は悪化するだけである。お客様への対応は正社員がまずは率先して行わなければならない。正社員が事務的な作業よりもお客様を第一に考えているという姿勢を示さない限り、部下であるパートタイマーの方々もお客様よりも自分の都合を優先するようになる。
しかし、時間的にはやはり、管理者にはお客様に接する時間は少なくなってしまう。そのことについて部下は気にしている。何の仕事をするためにお客様に接する時間が減ってしまうのか説明する必要がある。新人の研修のため1時間、発注のため30分、会議の資料作成のため1時間、と所在と業務を全員がわかるところに示すことで、部下は納得し、不信感を持たない。
また、お客様に接する時間が減ってしまってもお客様ニーズを探ることをサボってはいけない。じかにお客様応対をしているパートタイマーの方々はお客様に喜んでいただけるためのたくさんのヒントを持っている。この方々からたくさんのアイデアを引き出すことが大切である。管理者にとってのお客様とは部下である。上から下への一方的な管理ではなく、部下が業務を主体的に行えるように横から、下から、サポートをする姿勢が必要である。部下のアイデアは無視したり反対してはいけない。それがお客様満足につながる限り、企業理念と一致する限り実現させる努力が管理者には求められる。お客様の声に必死で応えるのと同じように、部下の声にも応えることが大事である。
管理者がパートタイマーの方々とよりよい人間関係を築いていくためには管理者らしい仕事をすることが大切である。つまり、他のパートタイマーへの管理を求められている。パートタイマー同士での人間関係の問題は些細なことから起こる。誰かがよく遅刻をする、誰かがあいさつをしない、誰かが仕事中話しかけてくる、あの人は笑いもしない・・・あの髪型は何だ?等など。つまり、管理者がそれらしい仕事をしていないために起こることが多い。管理者はチームワークをよくするためには職場でのしつけ面、つまりあいさつをするとこや時間を守ること、決められたルールを守ることなどに厳しくなければならない。そして単に押し付けるのではなく、なぜ厳しくするのか理由も伝えなければならない。
管理者は時には部下の心理的な部分やプライベートな部分にも立ち入ることがある。そのことが仕事に関係してくる限り、無関係だと突っぱねることはできない。24時間体制で部下の話は聞く心がけが必要である。耳は2つ、口は1つ。話すよりも倍は聞くようにとよく言われるが、管理者は部下の話は100%聞く必要がある。否定されないパートタイマーの方々は積極的に業務にかかわりお客様にすばらしいサービスを提供する。
このように考えてみると、職場の中での風通しの良さ、コミュニケーションの重要性が見えてくる。職場の中での人間関係が良好なのかどうかはすべては管理者次第である。
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