向 竜也

現在、私の父は脳梗塞が進み、自分のことがなかなか出来なくなってきており、 平日はデイサービスやヘルパーを利用し、日曜日は食事の用意にほぼ毎週私が 行っています。昨年の冬に、うちの弟が父にハロゲンヒーターを静岡のJ店で買い ましたが、それが電源を入れても付かなくなってしまいました。弟がJ店に確認する
と、どこのJ店に修理に持って行ってもOKとのことでした。弟は静岡に住んでいるの
で、私が近所のJ店(藤沢)に修理に持って行くことになりました。 そういうわけで先日修理に持って行ったわけですが、藤沢のJ店は電化製品売場を 見直しており、ハロゲンヒーターは扱っていないようでしたが、とりあえず受け付け
に行って事情を説明しました。「保証書かレシートがありますか?」と言われ、この
時、保証書もいっしょに持っていったつもりでしたが、いくら探してもありません。また レシートもありませんし、静岡のJ店の店名もわかりませんでした。私はなかば あきらめました。さすがにレシートも保証書も無く、店名もわからない状況では、 修理に預かってもらうことは無理だと思いました。しかし事情をわかってもらうこと ができ、受け付けてもらうことができました。2週間くらいで直り、結果として無償 でした。私はこの対応には感激し、また感心しました。なかなか私どもも含め (私は生協に勤めています)、レシートも保証書もない中で、この店のように受付対
応することができるかというと難しいと思います。またこの時、無条件返品のことが 頭に浮かびました。今回の件は、無条件返品とは違いますし、私の場合も、 もし修理でなく返品であったら、果たして受け付けてもらえたかどうかは疑問 ではありますが。
無条件返品は、日本では実施しているのはごくわずかのようですが、 アメリカでは無条件返品がかなり当たり前になっていると聞きます。 アメリカの通販利用者は、同じ洋服でサイズをいくつか買い、自分の体に 合うものを1つ残し、他は返品するとのこと。日本ではそういう使い方をする人は まだまだ少なく、そういう利用の仕方をするといやがられたりもするようです。 無条件返品は、ノードストロームが有名で、CS関連の本にも載っています (「顧客満足ってどうやるの」)。これには無条件返品は、販売促進策と 考えているとのことでした(今度本を読む会でも題材にしたいと思います)。
日本では、2年ほど前の、北海道での某スーパーの牛肉産地偽装による 返金事件を思い出します。これは、レシート無しで無条件返金を受け付けた ところ、実際に牛肉を売った金額の3倍ほどの返金額になってしまい、3日で 受付を終了しとのことでした。この事件を受けて、無条件返品は、まだ社会が 成熟していない日本では難しいという議論があったように思います。 いずれにしても、最近はマニュアル的な対応から、より目の前の顧客に CS(顧客満足)を提供するために臨機応変な対応が求められ、また、そういう 対応が出来る企業は、対応する人へのエンパワーメント(権限委譲など)や ES(従業員満足)が進んでいると言われています。こういったことが進んでいる 企業から、無条件返品が広がり、日本でも当たり前になるのはいつ頃でしょうか。 その当りはCS研究会でも議論したり研究したりしてみたいと思いました。
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