TOPICS 187 BACK

新社会人の意気込み

島津 淳子
   



 4月。スーツ姿もまだ板に付かない新入社員の姿を多く見掛ける。自分が新社会人
になった日のことを思い出し、気を引き締める。誰しも社会人になったばかりのとき
は「精一杯頑張ろう」と心に刻む。「体裁よくやって、うまく切り抜けよう」などと
思っている人はいないだろう。しかしどんなに自身を律していても、環境に慣れると
ともに、自分の気持ちにも狎れが出てくる。社会人になった日の自分を思い出すこと
は、自覚のない狎れを追い払うための、私の中での恒例行事のようなものである。

 組織や企業の不祥事隠蔽事件が後を絶たない。毎月、何十件もの社告やリコールが
告知されているが、実際に起こっている事故はその程度ではないことは明白である。
どんなに管理された作業現場も生産現場も、そこに人や機会が介在する限り、絶対は
ない。事故は起こってはいけないものではあるが、起こって然るべきものである。そ
れを受け止めない限り、隠蔽事件は今後も続くであろう。

 発覚するのは、事が大きくなり収拾がつかない状況になってからである。事態が小
さい時点で表面化していれば、防げた事故は多いと思う。早い対応がとれ、働く人に
緊張感が生まれるからである。通常よりも深い思慮を生み、結果、その先の大きな事
故を防ぎ、改善された製品が流通される。問題が小さいうちに公表するかしないか
は、顧客や社会を第一に考えるかどうかにかかっている。私は「事故のない企業」よ
りも、「きちんと公表し対処する企業」を信頼したいと思う。

 どんな企業も、社会貢献や顧客奉仕の精神で「精一杯頑張ろう」との思いで創業し
たであろう。その精神を維持し続けることは、組織が大きくなればなるほど困難かも
しれない。新社会人の大いなる意気込みに見習ってほしいと思う。