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お気に入りのレストラン、その理由は・・・

     高根沢 文子





今回は私が気に入っているレストランをご紹介する中で、CSを考えていきたいと思います。

神奈川県藤沢市に引越してから、飲食店の新規開拓をしてきました。お気に入りで行きつけになったお店も数件できました。 その中でも特に気に入っているのが、今回ご紹介するフレンチレストランです。

片瀬山の中腹にあるそのお店は、四季折々のハーブや草花に囲まれた石の階段を上ったところに玄関がある1軒屋を改造したレストランです。
重厚なドアを開けると、そこは小さなフランスのようです。 入り口脇にはワインセラー、正面にはオープンキッチン、左手の暖炉の前の階段を2、3段上がったところがテーブル席になっています。
各席からは、斜面を利用した手入れの行き届いた庭園が、大きな一枚ガラスの窓越しに見えます。夜にはたぬきやハクビシンも遊びにくるとか。
元スチュワーデスのオーナーが、独自ルートで開拓したフランスの仕入れ先から季節の野菜やワインを調達しているとのことです。 コースメニューだけですが野菜が中心で、ランチ2,800円〜、ディ ナー3,500円〜とお手頃な価格も魅力です。お味はもちろん絶品です。

このお店の気にいっている点の一つは、さりげないサービスをして下さるところです。
日曜のラストオーダーぎりぎりに入店した際には、サラダが通常の1.5倍ほどのボリュームで出てきました。少し驚いていると「月曜日は休みですし、新鮮な食材が余ってももったいないので、大盛にし ました」と一言添えて、年配のウェイターさんが微笑まれました。
またある時は、車での来店なのでいつも赤ワインをグラス1杯頼み、前半は運転をする夫が、後半は私が飲んでいるのを知って、グラスいっぱいに赤ワインを満たしてくれました。これまた驚いていると 「お二人でお飲みになるので、少し多めに」といつものウェイター さんが上品に微笑まれました。

そのようなさりげないサービスを、おしつけがましい雰囲気もなくサラリとして下さるところが、常連客として扱われたという気持ちをくすぐり、ちょっと得した感を演出してくれているのだと思いま した。
そして、年配のウェイターさんは、そのようなサービスをする時に私達の驚く顔を見るのを本当に楽しそうにしているのです。

このレストランでの出来事は”サービスをする側も楽しむ”という発想を私に与えてくれました。

CSとは、お客様が満足か否かを決めることです。そのことを念頭に置きつつ、お客様の笑顔や驚きを引き出すサービスを想像して実行する、という接客やおもてなしができたら、肩の力が抜けたさりげないサービスができるのではないかと思いました。

余談ですが、このレストラン、最近はかなり前から予約しないと席が確保できないほど繁盛しており、計画性のない私たちは、ここ2回ほど空振りしています。