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企業と顧客とアサーティブ

山下 加津子

       



女性センターの講座でコミュニケーション・トレーニング研修を受けました。
その中で始めて聞いた「アサーティブ」と言う言葉。
私にとっては目からうろこの概念でしたのでご紹介いたします。

対人対応を3つのパターンに分けると、
1 「攻撃的(アグレッシブ)」
2 「ノンアサーティブ」
3 「アサーティブ」に分けられます。

 たとえば、レジに並んでいるときにほかの人が割り込んできた場合、
1のタイプは「あんたなによ!割り込みしないでよ!」といきなり怒鳴るタイプ
この場合割り込んできた相手も嫌な気持ちがするけれど、言った人も後で後悔したり反省することになり人間関係に支障が出ます
2のタイプは「どうせ私が我慢すればいいし」と何も言わないタイプ。
ですが、心の中では「なによ!割り込んできて!」と悶々とした気持ちで過ごすことになります
3のタイプは「恐れ入りますが、こちらに並ばれたらいかがですか?」とやんわりと相手を立てながら自分の権利を主張するタイプ。
相手も傷つくことなく、言った本人も自分の主張を通すことができます。

顧客対応をしていると、1の攻撃的なタイプにしばしば遭います。
そして、対応に苦戦します。ですが、企業にとってもっとも問題なのは2のタイプです。
顧客が何も不満を言わず、静かに離れていく、あるいはどこか他でブツブツと文句を言っているのでは顧客の企業に対する不満はつのりますが、企業は何の改善もすることができないのです。
日本ではまだまだ2のタイプの方が多いのではないでしょうか?

私はこのアサーティブという言葉をはじめて知って、ハッ!としたことがあります。
私は企業側の立場にいるときもありますが、顧客の立場になったときに、よく1の態度をとっていたのです。
私は接客業にかかわる中でいつの間にか「お客様が上で、店員は下」という上下関係があると思い込んでいました。
ですから、他の店に客として行ったときに「客に対してその態度は何よ!」と腹を立てたりきつい言い方でこちらの権利を主張したりしていたのです。
ですが、1の攻撃的なタイプで食ってかかったときには必ずといっていいほど後で後悔します。
「もうあの店には行けないなぁ」と反省するのです。
店員もきっと嫌な気持ちになっていたでしょう。
私が理解したことはこうです。
「お客様も店員も対等なんだ」ということです。
同じ人間として対等ですし、もちろん商取引という法律上も対等です。
店が顧客に対してマナーを必要とされているのはもちろんですが、客も店員に対してマナーが必要なのです。
それは同じ感情ある人間としてお互いに相手を立てるということです。

このアサーティブの概念と、対等であるという考えがもっと広まれば、企業と消費者の関係はもっとよくなると思いました。
顧客満足とは顧客が企業に対してどうすれば満足するのかを伝えなければ向上しません。
そのためには企業と顧客が協力し合って顧客満足の創造をしていくために、コミュニケーションにアサーティブを取り入れる必要があるのではないでしょうか。
まずは、顧客として企業とかかわるときに、食ってかかったり、泣き寝入りしたりせずに、ご自分の権利を相手も立てながら主張してみませんか?