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広告の品



広川 友美






 「うわぁ〜ん」子供の泣き声が店内に響きます。
 「ないんだから仕方ないでしょ。もうあきらめなさい」 さとすお母さんの声もイラだち気味です。

 原因は、お盆直前に入れたチラシ『ブランドカジュアルソックス 4点よりどり\1000』の靴下なのです。
この4点よりどりセールは、2〜3年前からあちこちの量販店で特売されている企画です。
(紳士・婦人のボブソン・エレッセ・プレイボーイ・リーといった平常価格480円の靴下とお子様のキャラクターやアディダス・ナイキといったスポーツブランドの靴下を紳士・婦人・お子様の区別なく、4点で\1000で売る企画です)

 この本日のチラシに掲載された写真撮りの商品『アバレンジャー』の中の『アバレキラー』というキャラクターの19〜21cmがなかったのです。 大体、婦人で2000足・紳士で1500足・子供で800足くらいの数で、取引先 社4〜5社から、ダンボールで紳士婦人子供の区別もなく、2〜3日前に20箱くらい商品が投入されます。(店ではストックできる場所がない為、大抵直前に、入荷確認の為、3日前に来るのが通常です)

 広告には、紳士・婦人・お子様、ご家族みんなのソックスがまとめ買いのチャンスとされ、いくつかのブランドソックス並べられた写真が大きく撮影されています。
*掲載の商品は一例です。という文字も入ってはいますが、そんなことは泣いている子供には、実際には、写真をみて開店と同時に店内にはいってこられたお客様にも通用しないのが 現実です。

 一方で、写真入りの広告を私がチェック出来るのは、前日・または、早くても一昨日です。チラシ 原稿(これは1週間前からチェックするための本部指示文書で文字のみ)には、アバレンジャーが掲載と書いてあるだけです。アバレンジャーはあるのです。(アバレキラーのブラックでないだけなのです)
そもそも4300足の靴下を前日までに、写真撮りとチェックし、当日に間に合わせ るのは、不可能に近い中でも、キャラクターは別格扱いで(上記の理由でトラブルになりやすい為)、アバレンジャーのサイズ切れがないことは十分確認済みでした。 但し、チラシを前日に見たとき、私は、この写真撮りのアバレキラーは16〜18cm しかないかもしれないということにも、気がついていたのです。
*掲載の商品は一例です。の一文もあるし、まだ、ダンボールが送られてくるかもしれないし、一応アバレンジャーはあるし、文字ではアバレンジャー・ナーシャほかキャラクターとしか紹介されていないし、いくつかのブランド靴下の写真のなかの一つだし、第一いまさら手配をかけても明日の朝10時の開店には間に合わないし、な どと私の中にも、まさかこんなことにはなるまいという甘えがあったのです。

 さて、その後の対応です。

 まず、とりあえず、お客様と一緒に探します。ないことは十分承知の上です。それから、一緒に\480のキャラクターのコーナーにご案内をさせていただきました。そこには、最新のアバレンジャーも入っています。「申し訳ないのですが、こちらで気に入っていただけるのはありますでしょうか」
その男の子は、全く泣き止む気配がありません。もちろん、アバレブラックもないので、全く無駄な作業なのかもしれません。
そうしている間に、バイヤーと係長に電話で報告します。どこか、アバレキラーがあるところを紹介してもらえるかもしれないし、どちらにしても、商品が入っていなかったことは報告しないといけないのです。全くの徒労でした。報告は受けるし、取引先へも連絡はするけれども、それ以上は本部にいるバイヤーには対応の取り様がないので す。
次に、取引先へ連絡です。こちらは手ごたえありです。ただ、緊急度合いの温度差は否めません。明日からお盆休みなこともあり、電話越しの取引先の事務所側はなんとなく、にぎやかでリラックスしている様子が伝わってきます。 しかも、商品の手配とはいえ、一足\250のしかもキャラクターを単品で指定され た上、1足送ったのでは赤字に決まっています。「値段は\480で構わない。10 足くらいまとめてくれても構わない」という私の声にやっと探してくれる様子です。 とりあえず、探してくれるというので、時間がかかりそうだという判断になり、お客 様には、連絡先をお聞きして、お詫びのうえ、「探していますので申し訳ありません が」ということで一度帰っていただくことになりました。

 さて、それから、アバレンジャーのアバレキラーでは、わからんというので、チラシをFAXで送っとところ、アバレキラーにはブラックとイエローとブルーがあるという こと、Faxではよくわからんということで、全色送ってもらうことにしました。チラ シ写真撮りの際は、一例なので、無作為に選んだという返事でした。
結局、なんとか「明日から盆休みなんだ、お盆明け20日頃ほかのと一緒に送るよ。 18日にもう一度出荷確認の電話をいただけるかな」
と取引先の担当者が言ったので、お客様に即連絡、20日以降でも構わない、という お返事をいただきました。

 19日、4足のアバレキラー(ブラック2足・イエロー・ブルーが各1足)のみが日付指定の上、小さな紙袋に入れられて、1足\250でお店に届きました。

 電話連絡の上、客注ノートに記入、指定場所にて保管をしていたところ、その日の午後には、お見えになられ、4足全部お買い上げいただいたという報告をレジにいた係員から受けました。

 今回は以上の対応で、更なるトラブルにはなりませんでしたが、次回このお客様が引き続き、当店で買い物をする気になるだろうかを考えたとき、やはり再度のご来店は ありえないかもしれないと思うのです。