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高齢社会と100円ショップ
日野 春代

  

「あったらいいなを形にする」どこかの100円ショップのCM。
本当にその通りと思ったことが何度かある。

都会に住んでいるのに狸が来る。お友達になりたいと思うが、木の実が一杯の糞をする。
それも毎回同じところに積み上げていく、狸のため糞と言うらしい。人感ライトをつけたが効果はない。 そこで、周りに鈴をつけると、ちりちりと鳴り慌てて逃げていくだろうと考えた。
鈴の買い出しである。近所に2、3件あった小間物屋さんはとっくに無くなった。 商店街にある大型スーパーならあるだろうと訪ねた。ない。
40代くらいのレジさんに「近くに小間物屋さんはありますか?」と聞いたら「小間物屋さん?」
小間物屋という言葉は、死語になってしまっているらしい。 考えあぐねながらの帰宅途中、100円ショップが浮かんだ。あるわけないだろうと思いつつも、 店員さんに尋ねると、すぐ売り場に案内してくれた。
あるではないか、大きさ色々、色もとりどり、しかもパックに2個から6個も入っている。 本当に驚いてしまった。

二つ目は凧糸。
お正月に凧あげをすることになった。
凧は以前、ネットで買った奴凧。これもあるわけないとお店に入ったらありました。 隣町の商店街の中にある小さな100円ショップの実力に驚いた。
例の「あったらいいな・・・」の文言は私にとっては「あったらいいなは必ずある」 と言う感じなのだが、まさに100円ショップは町なかの小間物屋さんである。

30-40年前は近くの商店街には魚屋、果物屋、製麺屋、乾物屋、手芸店、文具店、本屋、雑貨屋、 金物屋・・・とあった。今はうなぎ屋さんとお豆腐屋さんしかない。そしてそこには会話もあった。

あと10年もたてば私のような団塊世帯も70代半ば、ネット通販も億劫になってくだろう。
雑貨類を買おうと思うと遠くの量販店や大型スーパーまで行かなくてはならない。 そして欲しいものを探し当てるのにまた時間がかかる。さらに高齢社会が進み、 都内においても買い物難民が増えることは間違いない。

会話があり、買い物も楽しめる、少し高くても質の良い100円ショップとコンビニには、 若者や年寄りの居場所として町なかで頑張ってもらいたいと思うこの頃である。