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マルチカードの不条理
柄澤 明久



私の趣味は健康維持と老化防止のためのウォーキングです。
先日の夏の朝、自宅を出て多摩川の土手を頑張って20キロほど歩いて、 電車に乗って帰ろうとしたときのことです。スイカで改札を通ろうとしたら「ピンポーン」 と警告音がして赤ランプが点灯。
おかしいなあ、まだ8,000円以上残っているはずなのに、とカードを駅員に見せると 「ICカードの有効期限が切れていると表示されていますね」とのこと。
エッ、うそ、スイカに有効期限があるの?
そのときこのカードはクレジット機能がついていたことを思い出しました。
カードの表の面を見ると確かに有効期限が昨日の日付けなっています。 それにしても何で更新しなかったのだろう? そういえば1年半ほど前に転居したときに、 カード会社に転居の届けを出していなかったことに気がつきました。 更新の通知が来なくてクレジットの期限が切れ、 それに連動してスイカの機能も停止になったのでしょう。

このカードはある家電量販店で買い物をしたときに、店員にすすめられて手にいれたものです。
この量販店のポイントカードとスイカとクレジット機能が一体となったカードで、「便利ですよ〜」 とのことでした。
私はクレジットカードは管理上1枚に決めているので、さらなるクレジット機能は不要です。 クレジット機能なしのポイントカードとスイカが欲しいと言ったのですが、 それは不可とのことでした。
まあクレジットは使わなければよいか、と思いカードを発行してもらったのでした。 そしてこのカードはクレジットとしては今まで1回も使ったことがなかったのです。 従って有効期限のことも転居時の届けのことも忘れていたのでした。

それにしてもまだお金が入っているスイカが使えないというのは不条理です。
「期限が切れたのはクレジット機能であって、 期限のないスイカの機能まで打ち切ってしまうのは利用者無視だ、CSに反するではないか」 と思いました。
そのことを目の前の駅員に言っても始まらないので、言わなかったのですが、 どのようにしたら前払いした金額を使えるようになるのか、と質問したら 「こちらでは分からないので、カード会社に聞いてくれ」との何とも頼りない返事でした。

帰りの電車の中であれこれ考えました。今回は財布の中に帰りの電車賃があったからよかったもの、 もし持ち合わせがなかったら家までまた20キロ歩いて帰るという悲惨(笑)なことになりかねません。 旅行中に今回のようなことに遭遇したら、場合によりお手上げのことになるかもしれない。 前払いした金額や1万ポイント以上たまっているはずのポイントがパーになってしまうのではないか、 まさかそのようなことにはならないとしても回復させるためには面倒な手続きがいるのではないか、 等々不安な思いに駆られていました。

カード会社に電話すると、確かに住所は古いままでした。 新たな住所を告げ新カードを送ってもらうように頼み、 ついでにポイントと前払いしたスイカの金額はどうなるのか尋ねたところ、 「ポイントは新カードに移行するが、前払い金額については専用の端末で払い戻してもらう」 とのことでした。

後日送られてきた新カードとともに、 払い戻しの方法が図解入りで丁寧に解説した説明書が同封されていました。 それを見ながら端末で操作して、案ずるほどのこともなく現金が戻りました。 念のために家電量販店に行き、新旧カードを提示してポイントがどうなっているか聞いてみたところ、 新カードに移行していることが確認できました。

こうして一件落着したのですが、今回のこのような現象が発生した原因は、クレジット、プリペイド、 ポイントという性質の異なるカード機能を1つのマルチカードに混載したためのものであると考えます。

それにしても ―当方に落ち度があったにせよ―  毎日便利に利用していたスイカがある日突然使えなくなるという“カフカ的不条理” がトラウマになってしまい、結局クレジットカードは契約を解除してしまいました。 スイカと家電量販店のポイントカードはそれぞれ別のカードという元の黙阿弥になりました。