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震災時のCSについて考えたこと
松本 数馬



緊急地震速報が携帯電話から鳴り響くと同時に大きな揺れが仙台の銀行のオフィスを襲いました。
2日前にも大きな前震があったこともあり、多くの仲間が速やかに机の下で身を護りましたが、 地震はさらに大きく、長く続きました。
2月にニュージーランドで日本人が数十人亡くなった倒壊事故を思い出し、 このまま床の底が抜けるのではないか、早く収まってほしいと何度も思いました。 地震の揺れが収まったものの最初は茫然としてしまい、 なかなか現状把握と次の行動に移ることができませんでした。

時間は14:50分

銀行の窓口にはお客さまも数十名いらっしゃいました。 まずはお客様を安全に誘導しようということになり、真っ暗な階段でお客様を3階から1階へ誘導し、 自分たちの同僚へも安否確認を行います。しかし、 余震は何度もやってきますし連絡はなかなかつきません。
外では交通統制を失った車で大渋滞となり、夕方にかけ空からはみぞれが降り始めました。 空調も止まりどんどん寒くなっていきます。 銀行の中にあった非常食を用意し水と乾パンと缶詰をみんなで分け、帰宅することになりました。
もちろん公共交通機関は停止していますので徒歩で夜道を1時間かけ帰ったのでした。

翌日から食料の確保や情報入手に取り組まなければなりませんでした。少ない予備電源の中、 インターネットで大津波の被害映像が飛び込んできました。ラジオでは被害を伝えていたものの、 初めて見る映像に非常にショックを覚えたことを今でも忘れられません。 その中で金融機関としての役割を果たすべく、震災翌日より銀行窓口を再開できるかどうかの検討を進め、 日曜日には営業再開させようということになりました。 窓口を開け、お客様の緊急の支払に柔軟に応じる為です。

いざ開店となる時でした。
ふと冷静にお客様の立場で物事を考えた時に一つの疑問が湧きました。この状況の中、 御来店される方にまず初めにどのように「お声がけをしたらよいのか」
初めてお会いする方も、前から知っている方もどのような被害を受けていらっしゃるか分からない。 場合によってはご家族を亡くされているかもしれない。
その中で「大丈夫でしたか?」「家族は?」「家は?」とか、ましてや「大変でしたね。」 なんて軽々しく聞こえてしまうのでは・・・。
お客様を安心させてあげられるような言い方、 第一声は何がベストなのか?顧客満足ではないかもしれないが、 少なくともお客様が満足するような対応を心掛けるにはどうしたらよいのか。

皆様でしたらこういう状況の中初めにどのようにお客様にお声掛けされますか?

誰も経験していないことでしたし、もしかしたら失礼な言い方もあったかもしれませんが、 私がいろいろ考え、実践した中で一番ベストな言い方は、 来てくださったその方に対して「お怪我はありませんでしたか?」 とさりげなくお話するのが自然だと感じました。
明らかに怪我はしていなくてもこの言い方をすれば 「ありがとう。怪我はありませんでした。ただ、家が・・・」 というような形で会話も弾みました。
お客様も人間ですから苦しい状況を共有し少しでも気を楽にしたいというのはあるのだなと 感じた一瞬でした。

私個人の意見ですし、これが正解とは思いませんが、ふと立ち止まって相手の立場で考えることが、 こういう状況でなくても非常に大切ですし、相手を受け入れる話し方に繋がるのではと感じました。
結果的にCSに繋がったかどうかは定かではありませんが、 厳しい状況下だからこそ落ち着いて冷静に考えることが 消費生活アドバイザーには求められているのだと感じました。