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アメリカの返品事情とCS |
日野 春代![]() |
アメリカの返品事情には少々驚いた。 とりあえず買って、気に入らなければ返すのがあたり前のようである。 日本でも返品可能な商品は沢山あるが、少し面倒である。 昨秋、6週間、滞在した時のことである。店のクリスマスムードに押され、 カードで400円ほどのツリー用の飾りを買った。 「日本にわざわざ持って帰るほどのものではなかったなー」と思っていたところ、「返品すればいいのよ」 の娘の一言で、買ったお店に持って行った。返品カウンターに持ち込むと、品物をチェックするでもなく、 理由を聞くでもなく、カードの提示を求められることもなく、レシートだけで事務的に処理してくれた。 気合いを入れ恐る恐る行ったのに拍子抜けである。2日後には返金されていた。 感謝祭が終わった翌日は、ブラックフライデーとかで、市民がこぞって買い物に繰り出す日であるらしい。 チラシの量は増え、デパート、量販店などの安売り合戦は否が応でも購買意欲を高めている。数日後、 返品カウンターの前には取りあえず買い込んだであろう品物を、カート一杯、 返品している人が何人もいた。機械的に受け付けられた商品は、 店員が大きなカートで元の棚に戻している。ネットで買い物をしても同様である。 近くに店があれば、送り返すこともなくそこでも返せるのである。 プレゼントについても、プレゼントレシートがついていれば好みの品物と交換できる。 最近の新聞報道によると、ネット販売のアマゾンでは注文されたプレゼントを相手に届ける前に、 商品を事前に通知し、気に入らなければその時点で交換も可能という新サービスを始めるらしい。 品物を吟味して贈る楽しみ、贈られる喜びは、合理的な考え、手法の前には型なしのようである。 これらが、顧客満足の究極の姿なのだろうか。 CSの勉強を始めた当時、100%の品質保証をし、気に入らなければ使用していても返品できる。 CSの本場アメリカはさすがに進んでいると思ったものだ。しかし、取りあえず売ります、 返す理由は必要ありませんスタイルには、 作り手や売り手の商品に対する誇りや愛着などはないように見える。 ベッツィー・サンダースさんの「サービスが伝説になる時」など、どこにいってしまったのだろう。 「お客様が満足される商品やサービスを・・・」「ロイヤルカスタマー 」 云々とは違う次元のように感じた。 同時に日本の「完成された商品」、「きめ細やかなサービス」、「おもてなしの心」 がますます見直され、さらに評価も高まるのではないかと思った。 しかし、不思議なもので、一度安易な経験すると、 私も取りあえず買っておくかという気分になっていたのも事実である。 |