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本人確認っていったい何?
紅林 由美






  これは、私の夫が留学のため渡米し、私だけが日本に残って出国の準備をしていたときの話である。

  私は先日からいらいらしていた。某都市銀行で申し込んだインターネットバンキングの暗証番号の変更を依頼していたのだが、その返事がない。アメリカで先に生活を立ち上げている夫から暗証番号の変更を依頼され、届出を出してから10日以上、何の連絡もないために更した暗証番号を使えるかどうか分からない、そんな状態が続いていた。夫のアメリカで自由に使えるお金が少なくなってきた、ということで私のほうでこの銀行に問い合わせをすることにした。
 「暗証番号の変更をお願いしていた紅林と申しますけれども、その後連絡がなくて、届け出た暗証番号を使えるのかどうなのか知りたくてお電話しました。」  と言うと、係りの女性は、
 「失礼ですがあなた様は?」
 「家内です。主人が既にアメリカへ行ってるもので。」
 「そうですか、こういったご照会はご本人様にしかお答えできません。それに、うちのほうでは手続きが完了していましたらはがきで通知するのですが、それが来ていないのですよね。」
と言われる始末。これ以上言っても埒があかないので諦めて真夜中で就寝中の夫にこの銀行へかけてもらうよう頼んだ。しばらくして、夫から電話がかかってきた。
 「手続き済んどったよ。でも、本人確認なんかされなかったよ。」
とのこと。

 夫からの電話を切ってから、無性に腹が立った。私に対して本人でないから教えられない、と言うのは仕方のないことなのかもしれない。(しかし某クレジットカード会社では生年月日等で確認したら私でも手続き可能なこともある。しかもこの場合は手続きの進捗状況を聞きたいというもので、それほどまでにプライバシー保護が大切なのであろうか?と疑問を持ったことも否めないが)しかし、男の契約者の照会を男がしたからというだけで、本人確認をしなくてもいいのか。それとも、応対した人によって本人確認の基準が違うのか?他人の財産を扱う金融機関が個人情報の保護を図るためのガイドラインを作っていないと言うことはありえないだろう。それを遵守できていないのか。
 こうして私が銀行へ不信感を募らせた今日、テレビでは本人確認があいまいだったため不正に預金を下ろされた被害者の被害金額が全国で15億円を超えた、と報道している。銀行のコンプライアンスがどうなっているのか、他人の財産を預かっているという自覚が本当にあるのか、疑問が残った一件であった。