宮澤 洋子
始業時刻とともに「トルッ、トルッ・・・」と鳴り始める電話。仕事柄、会社の
代表電話をとることがあります。着信数は月に約3,200件。ご用件を伺
い担当者へつなぐ交換業務です。常勤の専門オペレーターは2名おります
が、オペレーター不在時、着信が混み合っているときなどは応援にはいり
ます。「お電話ありがとうございます。○○でございます。」と名乗り、先方
のご用件をお伺いしてから担当者へ代ります。お客さまと社内の人間の間
にある電話交換について考えてみました。
相手の顔は見えませんので、いかに正確に内容を聞き取るか、間違いの
ない言葉で伝えるか、お待たせしないで担当者へ用件を渡すことに神経を
集中させます。もちろん、全体を通じすべてが会社の印象となるわけです
から明るく感じの良い対応を心がけています。
しかし、実際は受話器のムコウの社内担当者へ予想以上に気を使うことも
しばしばあり、社内担当者にも好感を持ってもらえるような電話交換であり
たいと思うようになりました。気がつかないうちに私は「担当者へつなぐまで」、
また社内担当者は「交換手から代わってから」が自分の仕事の領域だと思っ
てしまうのでしょうか。(お客さまにとっては一連の電話やりとりがすべて同じ
会社の人間であるにもかかわらず。)電話というのは、突然に現在進行形の
ところへ割ってはいってきます。(担当者は自分の仕事の手をいったん止め
ることになる。)私側の「早くこの電話をつなぎたい。」という気持ちが先に立
ち、「○○課」につなぎたいというばかりで実際に話す担当者個人をあまり意
識していませんでした。無愛想に代わる人「それは隣の席の人の仕事なんだ
けど。」と重い腰をあげるように代わる人、「さっきから電話ばっかり」という感
じの声になってしまっている人、様々な担当者の顔を知らないことに気がつき
ました。
なにか足りないことはと思い「いつもおつかれさま。」「忙しいところすみませ
ん。」
などのクッション言葉を使い社内担当者の繁忙感を和らげたり、廊下で対面す
るときに声をかけてみたり、何かと仕事の情報を聞き取ったりするうちに社内
担当者の顔が受話器のムコウに浮かぶような思いになりました。受話器を置
くときに、「よろしくお願いします。」という気持ちを込めてつなぐこともできるよ
うになりました。
これからはリレー競争のバトンのように、相手が取りやすいバトンの渡し方を意
識してみたいと思います。それがひいては、お客さまにも満足される対応ができ
ることにつながれば願ってもないことです。1ヶ月に3000人の方とお話しできる
ことは電話ならでは。お客さまと社内担当者と受話器のムコウを意識しながら小
さな事から続けてみたいと思います。
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