TOPICS 355   BACK

介護について考える
向 竜也



私の父は5年前から、特別養護老人ホームに入っています。当時は要介護3で、2ヶ所に申し込みましたが、 最初は両方とも順番待ちで、その後、運よく私の家から近いところで辞退者が出て、 何とか入所することができました。このタイミングで入れなかったら、我が家は共働きですが、 どちらかが休職か退職を考えなければならない状況だったので、助かりました。 世の中では、介護度にもよるのでしょうが、まだまだ順番待ちの人が多いようです。
その後、徐々に衰えてきて、2年前ほどから要介護5になりました。 また今年の正月には誤嚥で肺炎になり入院しました。 1ヶ月ほどで退院でき現在の介護施設に帰れましたが、 またぶりかえし6月中旬から9月初旬まで再入院しました。 介護施設の契約では概ね3ヶ月以上入院した場合は退所になるようで、私の父もぎりぎりでした。
ただし、病院では胃ろうの手術をする選択になり、何とか元の施設に戻れましたが、 これ以上症状が悪化すると退所しなければならず、その場合は老人病院を探すしかありません。 ただし老人病院も他の介護施設同様なかなか入りにくく、 さらに費用は特別養護老人ホームの倍近くかかるようです。 現在はいざというときのために老人病院を探していますが、胃ろうしている関係もあり、 難しい状況です。

介護施設の職員の皆様はよくやってくれていますが、入所した当初、親戚関係からは、 もっと面倒を見て欲しいという要望が多かったです。親戚関係の介護施設の現状の理解不足によります。 施設の体制、入居者数、訪問した時間帯によっても見える状況は違います。介護施設の人たちは、 その体制を考えれば、一人ひとりていねいに面倒を見てくれていると思います。 親戚関係も最近は理解したようです。
介護業界全体では、人手不足のようで、毎週新聞折込みの求人広告で、多くの福祉施設の募集を見ます。 またこの間マスコミ等でも取り上げられているように、介護業界の待遇は低いようです。 一方で大卒の就職状況は、内定率の下落率は過去最悪で、内定率でも過去最低の2000年に次ぐ状況です。 また大卒だけで無く、世の中全体でも職探しが厳しいなか、 なかなか介護業界には人が回らないようです。
また、介護施設の入居待ちを減らすためには、新しい介護施設の建設が必要です。 行政により多少の違いはあるものの一定建設は進められてはいますが、まだまだ不足していて、 入居待ちの人は多いようです。

これらの状況を変えるには、財政状況は厳しいですが、 国をあげて介護業界の待遇改善や施設の建設をすすめる必要があると思います。
先日の敬老の日のデータでは、65才以上は2944万人で23.1%、70才以上は2121万人で16.7%、 75才以上は1422万人で11.2%と、年々高齢化はすすんでいます。
このままでは、高齢化社会がますます進行し、介護施設の不足、 介護業界で働く人の不足が解消されないでしょう。 またそもそもの労働力人口の不足が予測されます。

以上のように高齢化社会対策は、 少子化対策や男女共同参画社会の構築などにもつながる総合的な問題であり、 解決は簡単ではありません。国に任すだけでなく、我々一人ひとりが考えて、 発信したり行動したりしていくことが重要ですが、難しい問題です。
いずれにしても我々は将来、外国人に介護してもらうようになる可能性は高そうです。 老後を安心して暮らせる世の中にしたいものです。

以上稚拙ながら、父の介護問題を通してのつぶやきでした。