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登山ツアーのCS

岡本 綾子



私の趣味は山歩きです。
自分で企画して出かけることもありますが、市の登山ツアーも利用します。
この市民登山は、市内の山岳連盟に所属する山岳会のリーダー達が企画運営するツアーです。
今回は、この市民登山ツアーの魅力を一顧客として紹介してみたいと思います。
私も含め、リピーターが実に多いのです。理由は、安心して任せられるツアーだからです。

山歩きには危険がつきまといます。今年は北海道大雪山系のトムラウシでの悲惨な遭難事故がありました。
よって登山に不可欠なのは、まず、安全な企画です。例えば、体力・技術相応のコース設定、事故発生時の連絡手段設定、 コース上の各地点におけるエスケープルート設定、道の状況把握、催行前・催行時の天候の把握等です。
市民登山の客は60代が多く、体力・技術に無理のないコース、時間に余裕を持ったスケジュールが組まれます。もう1つは、 リーダーシップです。市民登山のリーダー達は、客に対して、優しい顔だけでなく厳しい顔を見せます。 催行前に鍛えておくよう言い渡されたり、時間厳守・花々の湿地へ踏み込まない等、言うべきことはきっちりと客に伝えます。 私たち客はリーダーを道案内人ではなく、リーダーだと思って信頼を寄せています。

この夏は市民登山で白馬岳へ登りました。トムラウシの遭難事故直後で、 例年以上に「安全」に対して慎重に対処されました。

まずリーダーの配置。
1班7〜8名に対してリーダーを2名つけ、さらにフリーのリーダーを設置しました。
今回、フリーリーダーは途中でリタイアした2名に付き添って途中の小屋で宿泊し、下山日に全体と合流させ、 全員一緒に無事に下山できました。

次に状況に応じたコース変更。
天候の悪化から、1日目の夜に、翌日以降の縦走を中止して下山する判断が下されました。
リーダー達が客全員を集めてコース変更を説明されました。1日目に山頂を踏み、 お花畑や雲の合間からの展望を楽しみましたので、コース変更は残念でしたが私は満足できましたし、 「仕方ないね」の声は出ましたが、反対意見や文句を言う人はありませんでした。下山後の3日目は、朝からずっと大雨で、 1日早く下山して本当に良かったと思いました。

昨年の夏は岩手山へ登りました。市民登山のコースの下山道は、ガイドブックに紹介されていない、マイナーな、 比較的長時間の下りのコースでした。登山前は、何故そのコースが選択されたのか全くわかりませんでした。 そして実際の下り道。右が壁、左が斜面で、足元は石ころ道で、ただ下を向いて歩いていました。
そんな時、先頭を歩くリーダーの声が響きました。「みなさん、右を見てください!」
右側の壁斜面には、コマクサの大群落が広がっていました。コマクサは高山植物の女王とも言われ、 噴火口のような砂地の急斜面に咲くことが多く、近くに寄って見ることがなかなかできません。 そのコマクサが手を伸ばせば届きそうな位置一面に咲いているのです。女性達が喜んだのは言うまでもありません。 顔を上げれば、左斜面は大きく視界が開けて、実に開放的で明るい魅力的な道でした。
再びリーダーの声が。
「Aさん(今回の企画担当リーダー)はこのコマクサをみんなに見せてあげたかったんですよ。下見に来た時に調べて、 今の時期ならまだコマクサが見られる筈だって。」
コマクサ群生地に着くまで内緒にしていたらしいです。そうだったのか、 コマクサを見せるコースをその時期に併せて選んでくれたんだ、と私の疑問は解消しました。 そして、この道を選んだリーダー達へ感謝する気持ちになりました。

山を安全に歩き、山を楽しんでもらおう、そんな志を持つリーダー達が企画する登山ツアー。
客は安心して任せられる心地よさから、今度はどこへ連れて行ってくれるのだろう、 また(応募して)参加しよう!と思うのです。おそらく、他のリピーターの方々も同じ気持ちでいると思います。