TOPICS 340   BACK

苦情を満足に変えるお客様対応

木村 彰宏



私は、企業のお客様センターで日々お客様からの問い合わせや苦情を受けています。
昨今お客様が申し出られる苦情は、厳しく重たい内容のものが多く、件数も増加傾向にあります。その中で、我々は、 お客様の不満の感情を受け留め、和らげ、問題を解決して差し上げ、最後にはその対応に満足いただき、 その後も当社製品のファン(リピーター)になっていただくことを目指していますが、そのためには、 お客様の苦情を満足に変えるお客様対応が必要になってくると感じていました。

先日、ある講習会がきっかけで一冊の本に出会いました。「クレーム対応のプロが教える心を疲れさせない技術」 (中村友妃子・田村綾子 著、青春出版社)という本ですが、この本を読んでお客様の苦情を満足に変えるヒントを得ましたので、 ここでお伝えしたいと思います。
(*中村友妃子さんは、(有)カスタマーケアプラン代表取締役で、NACSの会員でもいらっしゃいます)
お客様の不満を満足に変えるポイントは、「こころの架け橋をかける」「怒りや不満の本質を見極める」 「適切に相づちをうち共感を表す」の3点にあると思います。

1.苦情のお申し出者と自分との間に、「こころの架け橋(ラポール)」をかける
怒りや不満の感情があっても、相手(お客様)は困って手をこちらに差し伸べているのだから、自分(企業側の応対者) もその手を握るがごとく手を差し伸べてあげる。

2.苦情のお申し出者が感じている怒り・不満・要望の本質を探し求め、見つけ出してあげる
例)洋菓子の15個入り詰め合わせの商品が、14個しか入っていなかったというお客様からの苦情
お客様:「いったいどういうこと? なんでそんなことが起こったのか説明しなさい!責任者を連れてきて謝らせなさい!」
など厳しいお言葉連発の中、何とか対応担当者からラポールをかけ、これはお客様が知人に差し上げたものであること、 その知人が気を使う関係の方だったことなどを聞き取り、

担当者:「恐れ入りますがお客様、ということは、私どもの今回の件で、 お友達に対してなんとご説明したらいいのかということで、お気持ちを重くさせているのではございませんか?」
「それでは、私どもから、先様へお詫びとご説明をさせていただきたいのですが、さしつかえございませんでしょうか」
と対応策を提案し、お客様に納得いただくことができた。
→ お申し出者のこころのおもりを少し下から持ち上げてあげるような不満の先取りをする意気込みが対応担当者には必要である。

3.お申し出者に対して、「共感」「慰労」「賞賛」の言葉で相づちをうつ
「申し訳ございません」を繰り返すと、逆にお客様の苛立ちを高めることになってしまう。
自分の言葉の引き出しに「共感言葉」と「慰労言葉」と「賞賛言葉」をたくさん用意しておき、 それらを適切に入れ替えて相づちを打ち相手の思いをわかってあげることで、 当方の事情や気持ちの複雑さもわかってもらうことができる。

■共感言葉:「よ〜くわかりますよ」という表現
●そのときのお気持ちはよくわかります・・・
●それでお電話いただいたのですね
●私も同じ立場ならそのように・・・

■慰労言葉:「それは大変でしたでしょう」という表現
●ご心配をおかけいたしました
●ご不自由(不便)でしたでしょう・・・
●何と申し上げてよろしいやら

■賞賛言葉:「お客様はすごい」という表現
●教えていただくことができて・・・
●このお電話は助かりました
●このご指摘をいただかなければと思うと・・・

お客様の苦情を満足に変える対応は、高度な技術だと思われがちですが、苦情に対応する経験を積む中で、 「お客様のお気持ちを受け留めこころをつないで、当方としてできる精一杯のことをして差し上げるという気持ちを示す」 ことを繰り返すことで、苦情を満足に変えることができるようになるものと考えています。