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アメリカ式ホスピタリティ

近藤 知子



「ホスピタリティ」と一言で言っても、その表わし方は、国は地域によって異なる。
ホスピタリティから文化、人々のコミュニケーションに対する考え方を窺い知ることができて興味深い。

最近用事で(悲しいことに観光ではないので、ビーチやショッピングには無縁だったが・・・)数回行ったグアムでも、 地元の人々と接する楽しさは体験できた。アメリカ的明るさと熱帯的おおらかさを持った人々に、 どこでも笑顔と「ハイ!」の挨拶で迎えられた。

先日も、用事がすんだ時には、常夏の陽射しは和らいで、店のネオンがぼちぼち点きはじめていた。そろそろ夕食時、 と地元のレストランに立ち寄った。ここはアメリカの有名チェーン店、座ると案の定回りは仲間同士、 家族連れで盛り上がっている。こちらはお一人様、ああ場違い・・・と小さくなっていると、 いかにもアメリカ娘という雰囲気の金髪のウエイトレスがやってきて、 「ハイ!私はアリス。あなたのテーブルを担当させていただくわね。よろしく。注文をとってよいかしら?」。

その瞬間、場違いの気持ちは吹き飛んだ。お一人様でも歓迎されているな、と思うと、にわかに食欲がわいてきた。 彼女は、私が食事中も、テーブルを通るたびに満面の笑顔をふりまいてくれた。そして、彼女が注文を取っているテーブルでは、 どこでも笑いが飛び交っている。本当に楽しんで接客している様子が伝わってくる。

満腹、満足、さて出ようか、と勘定を持ってきてもらうと、レシートの隅には彼女の書いた、 お日さまが笑っているイラストとThank you!の文字が!日本なら、不真面目と言われるかもしれないが、ここはグアム、 うれしくなって、思わずチップをはずんでしまった。




ある本で、日本の社会は「ハイ・コンテクスト(high context)社会」、一方欧米は 「ロー・コンテクスト(low context)社会」である、という説明を読んだことがある。

ハイ・コンテクストとは、コミュニケーションを行う者の間で、ひとつの言葉の持つ範囲が広いこと、言い換えれば、 少ない言葉で相手の伝えたいことを理解することができる、そのようなコミュニケーションに基づいた社会である。 「あ・うん」の呼吸がよい例だ。ひとつの民族、宗教が圧倒的多数を占めてきた日本社会の特色である。

これに対してロー・コンテクストとは、言葉の持つ範囲が狭い、つまりお互いに理解しあうためには、多くの言葉を、 論理的に組み合わせて伝えることを要求される。異なる民族、文化、 宗教がせめぎ合っている社会でのコミュニケーションの基本である。

これはホスピタリティの考え方にもあてはまるのではないだろうか?日本では、ホスピタリティとは、相手の気持ちに寄り添い、 さりげなく相手を思い遣る気持ちを表し、相手の共感をさそう、という考え方のようだが、アメリカでは、相手に対して 「あなたが来てくれてうれしい、楽しい時を共有できて幸せ」という気持ちを率直に表すことがホスピタリティなのだろう。

そんなホスピタリティを受けた時、私自身はアメリカ式に率直に喜んで、感謝の気持ちを表したい。