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サービスは受け手の気持ち次第

広川 友美



引越しも無事片付き、残りは、駐車料金の振込みのみとなりました。時計を見ると、2時過ぎ、指定振込み先の銀行は、 広島市内中心部にしかなく、近くの地銀で振込みをすることにしました。

銀行って確か3時までしか振り込めないはずだと思っていた私は、慌てて車に乗り込み、 国道沿いに適当な銀行がないか探しながら、時間を気にしつつ、運転をしていました。

銀行に入ったのは、2時40分も過ぎた頃で、整理券を受け取ると、すぐに、サービス係らしい行員が
「いらっしゃいませ」
と声をかけてきました。

「これを振り込みたいのですが」
と振込み用紙を出すと、
「窓口だとお金が高いですよ。ATMの方がお得です。当行のキャッシュカードはお持ちですか」
「ないです」
「では現金での振込みになりますね」

そこで、私は、財布の中にお金がほとんど入っていないことに気がつきました。
「すみません。持ち合わせがないので、郵便局に行かないと」
「どちらの郵便局にいかれますか、この前のとおりをまっすぐ行くと、新しくオープンしたショッピングセンターがありますよ。 ご存知ですか。そのとなりに、郵便局があります。ショッピングセンターのとなりに、当行の新しい支店もありますので、 ぜひご利用ください」

郵便局やショッピングセンターの存在を、市役所に住民票を出したときに知っていた私は、 残り10分少々と行員の宣伝に苛立ちながら、行員の説明も終わらない内に、「ありがとう」といって、 車に再び乗り込みました。

郵便局で現金を引き出し、ふと、『郵便局でお振込みが出来るようになりました』 とかテレビや郵便で案内があったことを思い出し、窓口に、「これ振り込めますか」と出すと「申し訳ありません」と言われ、 あと3分と思ったときに、先ほどの行員の「ショッピングセンターのとなりに、当行の新しい支店もあります」 の一言を思い出しました。

宣伝ではなく、親切だったのかしらと思うと、なんだか急に申し訳なく、うれしくなったので、不思議です。

ATMで振込みが終わると窓口側のシャッターはすでにしまっており、 受け手の気持ち次第でサービスにも宣伝にも取れるものだと思いました。