TOPICS 314   BACK

元気な商店街

近藤 知子



5月の連休に、法事で3日ほど高知に滞在してきました。小学校の2年間と中学・高校時代を過ごした街ですが、 実家が転出して以来疎遠になり、今回は4年ぶりに街を貸し自転車で走り回ってきました。

中心の繁華街は駅から数百メートル、歌にも歌われた「はりまや橋」を起点とした1キロほどのアーケード街ですが、 あちこちの店はシャッターが降りたままでした。2店あったデパートも1店は撤退し、ビルも老朽化して取り壊しの最中で、 工事中の塀の向こうには南国の青い空が広がっていました。スーパーはさらに激変。 街中を中心にチェーンを展開していたスーパーが倒産したこともあって、 中心街のスーパーは軒並み閉店!子どもの頃に見慣れた風景が幻になっていく寂しさを感じました。

多くの地方都市と同じく、高知もドーナツ化現象が見られ、 日常の生活用品は郊外型の大規模ショッピングセンターが主流となり、人口の減少や後継者不在も要因となって、 中心街の専門店は厳しい状況にあることが伝わってきます。

そんな状況でも元気な商店街がありました。大橋通り。アーケード街の終点にありますが、この商店街は土佐の台所と呼ばれ、 食品店が軒を連ね、他の通りとはがらりと違って庶民的な雰囲気です。客層も地元の人が多く、 昼間から魚屋さんの元気な声がアーケードに響いています。

合わせて150メートル位と小規模ですが、なかなか楽しい商店街です。道幅は6〜7メートルとかなり広く、 しかし自転車は基本的に通行禁止、道の真ん中の駐輪場に置くことになっています。 代わりにスーパーに置いてあるタイプのカートは自由に使えて、所定のカート置き場に返せばよく、 所々にベンチも置いてあります。この商店街では、雨にぬれる心配も、至近距離で走り抜ける自転車を気にすることもなく、 スーパーで買い物する感覚であちこちの店を回り、ベンチで一休みすれば回りの店が目に入るので、 そうだあれも買って行こうか、ともう1品カートに入れるお客さんもけっこういるのではないでしょうか。

アーケードの真ん中には人の高さ位の掲示板が。見ると手書きの商店街マップで、 店の広告や最新情報などを土佐弁で書いた吹き出しがあちこちに貼り付けられています。どれも、情報に一味足した内容で、 お店の、店主の顔が見えてくるようです。大橋通のパンフレットも置いてありました。一部ですがご紹介します。

「お酒の事ならなんでも任せちょいてよ(=任せておいてよ)」
「ヨシコおばさんが毎日漬けゆう(=漬けている)自慢のお漬け物。」
「とれだち(=取れたて)のうまい魚がいっぱい〜。一遍来てみいや(=来てみて)」
(筆者:そりゃ行かないかん=それは行かなくては)
「こじゃんと(すごく)低価格でやりゆうき(=やっているから)、〜たるばあ(=たっぷり)買うてよ」
(筆者:そんな言うたち、持って行けれんわ=そんなこと言ったって、持って行けないわ)
「家庭の味、毎日食べても飽きがこん!」(筆者:俳句かえ=俳句ですか)
「商売が大好きやき(=大好きだから)、笑顔もでるきね(=でるからね)」
(筆者:まっこと=本当に)

実際は、大橋通りを取り巻く現実は厳しいものがありますが、ここの取り組みは商店街が生き残るヒントを与えてくれます。
一つ目は「お店とお店の間」を顧客満足の要素として対応すること。
二つめは「その先を行く」サービスを提供すること。
三つ目は「店の顔」が見える情報を発信すること。

個性豊かでプロ意識に溢れた、そんな店の顔を感じられる商店街での買い物は、顧客にとってもワクワクする体験と思います。 そんな地元の商店街がもっと元気になることを願っています。