日野 春代

ドライブ旅行の楽しみの一つに「道の駅」を訪ねることがある。
兵庫の実家の近くに道の駅「さんなん仁王駅」がある。道の駅に登録されていない近畿圏発祥の幻の駅だそうだ。
駐車場の数が足らないためだとか。「道の駅」、その響きが可笑しく初めは冗談かと思っていた。平成の初めの頃である。
その内あちこちで「駅」が増え、いまや全国に830ケ所あるそうだ。コンセプトは「地域とともに作る個性豊かなにぎわいの場」
である。休憩機能、情報発信機能、地域の連携機能を備えた駅が「道の駅」として登録される。
平成3年に実験的に山口県や岐阜県で始まり、平成5年に第1回の登録が始まったそうである。
北海道から九州まで色々な「道の駅」に立ち寄った。「駅」もさまざまで、いろいろなタイプがある。
私流に分類してみると、
1.地域密着・応援型 行政、生産者、農協、婦人部などが一体となり町を上げての駅。
採れたての野菜や果物、山菜、郷土色豊かな特産品、お菓子などが売られている。
一つひとつのパックには生産者の名前と住所が書かれている。顔の見える販売である。地域紹介コーナーや資料展示室もあり、
ついでに理解を深めることもできる。
2.アミューズメント型
1.にプラスして温泉や、レストラン、公園なども併設され、地域の一大コミュニティー・レジャーセンターとなっている。
近隣からのお客様も多いように思う。
3.機能型
駐車場とトイレ、自動販売機、地域紹介パンフレットだけでとてもシンプル。
4.業者依存型
色々な業者が入っていて、大きなドライブイン的な駅。
5.作りました型
一応作りました的な駅。建物は立派だが、あまり主張もなく、活気もない。
旅行者の私は、もちろん1.が一番魅力的であり、楽しく、CS度大である。道の駅のマークを見つけると「わくわくドキドキ」
しながら必ず立ち寄る。ドライブ途中の昼食は地域のおばさんが作ってくれた、お弁当やおにぎり、
おやつは郷土色豊かなお菓子。帰宅してからも楽しみは続く。お味噌やお茶、蜂蜜、
お酒はそのあたりの風や匂いを思い出しながら、数ヶ月楽しめる。遠くからやって来た山野草は毎年、花をつけ、
喜ばせてくれる。これはCS的に言えばまさにカスタマー・デライトである。地方に元気がないといわれて久しいが、
地域上げての「道の駅」は、その地域もお年よりもとても元気に見える。
最近、田舎で道の駅に出品しているお年よりの娘さんから話を聞いた。クレームが多く、代替品の配送でとても大変だとの事。
安くて新鮮なものを旅の楽しみに買っているのだから、少しくらいの事はと思うのは私だけだろうか。
クレーム社会はこんなところにまでもと思った。そんな事にめげずに、知恵と工夫で乗り切って欲しい。
応援者もたくさんいるのだから。旅行者と地域がコミュニケートでき、元気になれる「道の駅」が増えることを願っている。
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