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お客様対応

広川 友美



ある日、突然にトランクスを持ったお客様が来店されました。

「袋から出したら糊が付いているので、一度素洗いをしたところ前半分の色が違うの で、交換してほしい」
というものでした。

早速担当者として呼ばれた私は、 トランクスとレシートを確認しましたが、まったくトランクスに問題が見当たらない のです。

お客様も
「蛍光灯の下では、わかりにくいけど、外に日に干してみるとすごく変なのよ。特に 濡れているとはっきりわかるの」
と言われます。

しかし、見た目はまったく問題ないのです。蛍光灯に透かしてみてもまったく問題あ りません。

レシートもあるし、お客様をあんまり疑うのも悪いし、当社で扱っている商品でもあ るし、他の商品との交換でも大丈夫だというので、お断りするわけにもいかず、交換 していただくことにしました。

ここで私はあきらかに、困ったお客様に対応する係員の顔をしていたと思います。

問題の商品をお預かりしたものだけど、見た目が不良品ではないので黙って仕入先に 返品するわけにもいかず、取引先に連絡することにしました。

「前半分の色が違うと言われているのですが、私が見たところ普通で、水に濡らして 外に出すとわかるというのですが」

といったところ、あっさり

「結構です。返品してください」

という話をしたところに、お客様が戻ってこられました。

「やっぱり変だし、なんだかすっきりしないわ」

と戻ってこられたのです。私が納得していないので、お客様もやっぱり納得しておら ず、新しいトランクスを渡されたからという問題ではなく、不良品がどうかをきちん と確認してほしいというものでした。

そこで再度、一緒にトイレにいって、トランクスを濡らし、店の外にでて、正面玄関 のところでトランクスを広げたところ、明らかに色が異なっているのです。

お客様も納得され、再度トランクスはきちんと検査に出されることとなりました。

お金を返したら、商品を取り替えたら、それでいいというのではなく、きちんとお互 いに納得することが大切ということを改めてお客様に教えていただけたよい機会とな りました。

お客様はその後何度となく来店していただいております。