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コマーシャルで「親育ち」のサポートを

日野 春代



 5年ほど前から、地域で主任児童委員(児童専門の民生委員)をしている。児童福祉のお手伝いをする「地域のおばさんボランティア」である。幸い私の受け持ち地域には虐待などの胸が痛むようなケースはほとんどない。幸せなことである。

 いろいろな場面で地域の小・中学校、児童館や保育園の先生がた、児童相談所の福祉士さんとお話しする機会がある。どの立場の先生も、親も子も「がまんができない」「他を思いやる気持ちが少ない」言い換えれば「自分勝手」である行動が目につくと話される。いつの時代でも「今どきの親は・・・、今どきの子どもは・・・」という言葉が聞かれるものだが・・・。

私たちボランティアは地域や関係機関と連携して「子育て」「親育ち」をサポートしていく事が大切であるという結論に落ち着くのである。

 幼稚園の学芸会を参観したときに実際に経験した。開演前に3人の園児が舞台上で「3つのお約束」、一つ「ビデオやカメラは自分の席で撮ってください」、二つ「トイレに行くのは劇と劇の間にして下さい」、三つ目、これは失念してしまったが、親たちへお願いをした。一つ目については、開演前から通路や座席の一番後ろのいい場所に3脚がずらりとセットされ、園児がお願いした後も場所を移さずその場で撮影は続行され、最後まで親たちは「お約束」を守らなかった。懸命にお願いした子どもたちも親になったらそうするのだろうか。

 授業参観では授業中のわが子を先生の横(教壇側)にきて前からビデオを廻す親がいる。20数年前にはなかった光景である。授業参観もビデオ撮影する対象になってきたようだ。節度が必要と思うのだが常識が変わってきているのだろうか。

   今、秋の運動会真っ盛りである。それに応じビデオカメラやカメラのコマーシャルも真っ盛りである。「遠くてもぶれない」「逃がさない」・・・などのコピーで一生懸命に走る子や演技をする子がアップで写る。素晴らしい性能を親に訴え、刺激している。これを見た、親たちがわが子にも一生に一度のこのような素晴らしい出来ばえの記録を残しておきたいと思うのは親心である。

 一時、携帯電話のマナーが厳しく問われ、電車内ではしばしばマナーを喚起する車内放送がされた。効果があったのか大声で野放図に話している光景は少なくなった。社会全体で口を酸っぱくした効果が出ているのだと思う。

 ビデオやカメラの使い方もマナーを呼びかける一言がコマーシャルの中にあり、企業も「親育ち」に協力して欲しいと思うこの頃である。