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<未完了を完了する>

山下加津子



 前回に引き続き、コーチングスキルを身につけるべく、トレーニングを受けている中か らの気づきをレポートします。コーチングとは簡単に言えば「相手の目標達成をサポー トするため、相手の自発的な行動を促すコミュニケーションの技術」です。つまり、目 標にむけて、より早く、より遠くを実現させる方法の1つだと言えます。

 このコーチングのなかで「未完了を完了する」という手法があります。未完了というの は「気がかり」とも言えます。ちょうど、試験勉強をしようと思っているのに、部屋が 散らかっているのが気になって勉強に集中できないように、気がかりがあると目標に向 けての行動にブレーキがかかってしまいます。ですから、目標に向けての行動を加速さ せるため、未完了をなくしてしまうのです。

 私はまず、「やろうと思っているけどやっていないこと」「やめようとおもっているけ どやめていないこと」など50項目をノートに書き出してみました。「請求書の発行」 「クリーニングに出す」「企画書の作成」「冷蔵庫の掃除」「○○さんに連絡」「電池 を買う」・・・仕事のことも家事のこともごちゃ混ぜです。しかし、できることからさ っそく行動に移してみました。これによりいくつかの気づきがありました。

 まず、時間を効率的に使うことができるようになりました。ちょっとした空き時間にも 「未完了リスト」を思い出し、その時の状況で実行できるものをパパッと済ませるよう にしました。この、空き時間の有効利用は非常に未完了の完了には効果があるので、大 き目のスケジュール帳を購入し、未完了リストはスケジュール帳に記載するようにして いつも意識するようにしました。

 次に、気が乗らないことを後回しにすることがなくなりました。以前でしたら、「人へ のお願い」「人への催促」など少し苦手な仕事は後回しにすることもありました。時間 が経つにつれ、タイミングを逃し、けっきょくできないこともありました。しかし、未 完了リストに「○○さんに連絡」と書いてあるので、連絡をすぐにとるようになりまし た。行動を起こすと必ず結果が生まれます。自分のお尻をたたく意味でも未完了リスト は役に立っています。

 そして、やり残しがなくなりました。以前でしたら、相手に指摘されるまで実行に移し ていないということも多くありましたが、未完了リストを活用し始めてからは常にタイ ミングを逃さず、行動できるようになりました。「あれどうなった?」と相手に指摘さ れるのはストレスの原因にもなります。自分主導で行動を起こしていくスッキリ感も感 じられるようになりました。

 私のスケジュール帳は月曜日に新しいページになります。週に1回、リストを更新し、 最新バージョンにしています。最初は50項目もあった未完了ですが、徐々に減ってき ました。そして、未完了の質も、限りなく目標達成に向けての必要な行動のみにしぼら れてきました。より早く、より遠くへと進んでいくために、身軽さが追い風となったよ うな気がします。