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「聞く」ことを考える

山下 加津子




現在、コーチングのスキルを身につけようとトレーニングを行っています。相手の自発的な行動を促すコミュニケーション であるコーチングは、経営においてCSを考えていく上でも活用できる部分が大きいと考えたからです。

コーチングにはさまざまなスキルがある中で、基本は相手の話を聞くことのようです。そこで、自分の普段の コミュニケーションにおける聞く姿勢をふり返ってみると気づくことが多くありました。私は日頃から人の話は よく聞く方だと思っています。あいづちを打ち、相手の話に耳を傾け、目を見てよく聞いています。途中で口をはさんだり、 相手の話を止めて自分が話し出すということはしません。ですから相手もよく話します。しかし、問題点が4つありました。 1つは私は聞いているけれども理解していないことも理解したフリをして聞いていることです。 2つめは相手の肩を持ち、聞き方に公平さがないということです。3つめは聞いたことに評価やコメントや批評を 話してしまう癖があるということです。4つめはずっとあいづちを打っているので相手の話が長くなり、 気づくと2〜3時間経っているということがよくあることです。

そこで、聞くことに以下のような工夫をしてみました。1つめの理解していないことを理解しているフリをするという点に ついては、話の途中でわからないと思ったことは、「それはどういうことですか?」と質問するようにしました。 それにより、話の意味がわからないのにただ聞いているということがなくなり、相手の話がよく理解できるようになりました。 2つめの相手の肩を持つということでは、今まで、相手に味方してしまい、話が終わると第3者の人に「悪いなぁ」 とか引け目を感じることがありました。そこで、相手が誰かのことについて指摘をするような話においても「それはいけないね」 「それはひどいね」などと相手の肩を持つのではなく、「ふーん。あなたはそう思うのですね」と事実のみを受け入れ、 こちらは感想などを言わないようにしました。これにより、公平な視点を持つことができました。 3つめの評価やコメントをしてしまうということについては、話したことに意見を言われると相手が目上の場合は 特に「評価されている」と感じ、防衛してしまうようなので、こちらからの意見は「言ってもいいですか?」と 許可をもらってから言うようにしました。これにより、相手は安心して話ができるように思えます。 4つめの相手の話が長くなるということについては、実はまだ解決策を発見していません。話を聞くのは好きなので 延々と聞いてしまうことがよくありますので、簡潔に話していただけるような聞くスキルを身につけたいと思っています。

自分自身の「聞く」というスキルを考えることを日常的に行っていると、対人関係がとっても楽しいものになってきました。 一人一人は意見や価値感が違うというあたりまえのことがすんなりと受け入れられるようになったような気がします。