トラジャ通信 
インドネシアスラウェシ島マカッサルに赴任している 青木 秀夫さんからのお便り公開のページです。

もどり


No.10 2002年11月 「プアサ(ラマダン)」

 日本は秋が無くて、急に冬に入ったそうですが、皆さん風邪は大丈夫ですか?
 こちらは、待ちに待った雨がやっと降り出しました。雨季入りの本格的な雨で、コーヒーの樹も喜んで、今年3回目の大開花があり、全山ジャスミンに似た 甘い香りが漂っています。 ここトラジャはキリスト教徒が大半なので、日常生活の実感としてあまり強くは感じないのですが、今年は11月6日からプアサ(断食月、ラマダン)に入りました。 我々日本人には馴染みの薄い習慣ですが、世界最大のイスラム国家であるインドネシアでは、とても大切な季節で、生活にもいろいろな影響が出てきます。 断食についての詳細は、私も良く知りませんので、間違ったことを書くかも知れませんが、外国人の生活者として感じたことを書いてみます。

 まずプアサの始まりですが、今年はちょうど11月3〜6日にマカッサルで会議があり、マカッサルの街(イスラム教徒が大半)にいました。 以前書きましたが、私も含めトラジャにいる日本人はマカッサルへ降りると買い物をしたり、日頃食べられない食事(日本料理、韓国焼肉、中華料理、フレンチ等) を楽しんだり、夜の街へ遊びに出たりします。ところが、プアサの直前は買い物客でスーパーマーケットは混雑し、食品、日用品の価格も上昇します。 我々外国人にとっては、辛いところです。

また、日頃の快楽を自制する期間ですから、マッサージ屋やカラオケスナッなどの風俗店は プアサ明けまでの約1ヶ月間、休業します。(買い物よりも、こっちの方が辛い!)プアサ入りの前日は、夜の12時になると 警察が風俗店のチェック・指導を開始するだけでなく、イスラム系学生の過激派が、風俗店に乗り込んで自粛を強要しトラブルが発生することもあります。 地元の情報を収集し、危険な場所に近づかないよう気をつけています。

プアサ期間中(約1ヶ月)の仕事への影響としては、 事業所によってはイスラム教徒の社員の終業時間をお祈りのために1時間短縮したり、会社によっては会社全体の就業時間を短縮したりします。 また、期間中の前半はまだいいのですが、後半になると社員自身も寝不足が蓄積するのか疲労から病気になったり、注意が散漫になったりします。 特に、運転手の体調はこちらが気をつけていないと、大事故になりかねませんから、要注意です。彼らはプアサ期間中、1日2食で、夕方陽が沈んでからと 夜明け前(午前4時頃)に食事をします。断食といっても、日本の禅宗のように一切食べないわけではありません。子供(13才以下)と妊婦、病人などは免除されていると聞いています。 しかし、変則な生活パターンですから、寝不足や疲労が重なるのは仕方がないのでしょう。

インドネシアでも禁煙の流れは始まっていますが、 まだまだ喫煙者が多く、普段喫煙の習慣がある人は、昼間禁煙になりますので、イライラも溜まってきます。従って、期間中のイスラム教徒社員との打合せでは 日頃に輪をかけてコミュニケーションに注意しています。今年のプアサ明けは、12月6日ですので、それまではこちらの宗教習慣を重んじて、 気をつけて生活していかねばなりません。(まあ、トラジャはキリスト教徒が大半ですし、インドネシア全体としても、中東の国々よりは 宗教的戒律が若干緩やかなようですが…)

プアサ明けについては、来月またレポートします。


コーヒーの花の開花



No.11 2002年12月 「プアサ」明け 

日本では年末ジャンボ宝くじや年賀状準備の季節になりましたね。皆さんお元気ですか?こちらは本格的な雨季に入り、コーヒーの樹が元気になるのと同時に 雑草も一緒に復活してきました。これからは、崖崩れ、雨漏り、洪水の心配な毎日が続きます。でも、いろいろな果物がおいしい季節になってきます。 今はマンゴの最盛期で、早めのドリアンも出始めました。

今年は12月6日でプアサ(断食月、ラマダン)が明け、イスラム正月(イドゥル・フィトリ)になります。 カレンダーでは6〜8日の三連休だったのですが、前後の5日、9日、10日を有給休暇の消化による休日とする大臣令が発表され、観光地の活性化を含めた国内消費の向上を 目的としたゴールデンウィーク(?)になりました。(クリスマスも26日が有休消化休日となり連休となります)
日本も年末のボーナス時期ですが、こちらの会社ではイスラム教徒に対してはプアサ明けの為の従業員手当(THR)が11月中旬に、キリスト教徒に対してはクリスマス手当が12月中旬に それぞれ支給されるのが一般的です。品物の場合もあるようですが、月給1ヶ月分というように現金で支給する場合もあります。
年に一度のお祭り騒ぎですので、帰省ラッシュがあり、長距離バスのチケットが入手し辛くなり(スラウェシ島には鉄道はありません)、食品など日用品の価格が上がり、 そして衣料品や電化製品などのバーゲンセールがありと、日本の年末年始と同じような消費行動が展開されます。マカッサルの街など都会では、酔った若者同士の喧嘩や、 金持ちを狙った強盗などの騒ぎが起こる場合があり、私は今年はトラジャの山の中で静かにしている予定です。また、プアサ明けから10ヵ月後には出産が多いとも 言われています。(?!)

爆弾テロ騒ぎで観光客が激減しているバリ島では、各大手ホテルが国内向け(インドネシア人及び在住外国人向け)の 格安宿泊パックを打ち出し、顧客獲得に懸命です。日本のツアー会社で予約する価格の約4割引です。私も12〜17日に日本から家族を呼んで、 割引パックを利用してバリ島で子供たちと遊ぶ予定です。

バリ島の様子は、また後日お知ます。


マンゴの樹


No.12 2002年12月24日 「よいお年をお迎えください」 

2002年も押詰り、柚子湯に南瓜、クリスマス、忘年会、大掃除、お正月の準備と忙しい年の瀬でしょうが、
皆さん風邪などひいていませんか?SELAMATHARI NATAL!(メリー・クリスマス!)
こちらは日本のような年末年始の雰囲気は無く、クリスマスの連休が終わると、新年は元日一日だけの休みですので、仕事上での年間データ集計、決算期替わり (当社は12月決算です)などで、新年を意識する程度で農園の農作業はいつも通りです。

12月12〜17日まで、日本から家族を呼んで、バリ島で休暇を楽しみました。子供達がいましたので、爆弾テロ騒ぎがあったクタやレギャンなどの繁華街に近いビーチは避け、セキュリティーの信頼性が高いヌサドゥア地区の 大手ホテルに宿泊し、ホテル内でのプール遊びを中心に、島内観光は1日だけのスケジュールです。ホテルでは、本来は日本人を筆頭に西洋人のお客が多いのでしょうが、爆弾騒ぎの影響で、観光客全体が非常に少なく割安パックと思われる台湾からの団体客がとても目立っていました。 チャーターした車の運転手、観光客向けレストランのマネージャーホテルの従業員、ツアー会社のガイドなど、全員が「観光客が2割位しかいない」と言って、嘆いていました。

島内の観光地でも、お客が少ないために閉鎖したレストランや、少ない観光客に無理やり群がる土産物売りなどが目立ち、テロがバリ島の観光に与えたダメージの大きさが実感され、 今後のインドネシア全体の経済への影響が懸念されます。でも、都市部を少し離れた村の人々は、いつも通り地元のお寺へお供え物をしてお祈りを奉げ、変わらない日常を送っている 様子も窺え、ほっとした面もあります。私の住んでいるトラジャがある南スラウェシ州の州都マカッサルでも、断食明けの12月5日にショッピングモール内の マクドナルドで爆弾テロがあり、3名が死亡しました。私もマカッサルの街へ降りると必ず行くスーパーマーケットが入っているショッピングモールですので、本当にテロは怖いなと 身にしみて感じました。

ということで、クリスマス、年末年始は、街へは降りずに最も安全だと思われる山の中(農園内宿舎)で、NHKの国際放送で紅白歌合戦を見ながら過ごします。 では皆さん、良いお年をお迎えください。
☆写真は、青木家の子供たちしかいないバリの海です。


バリ島の海

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