トラジャ通信 
インドネシアスラウェシ島マカッサルに赴任している 青木 秀夫さんからのお便り公開のページです。

もどり


No.1 2002年1月20日 「あけましておめでとうございます」

Selamat Tahun Baru!(インドネシア語で、明けましておめでとうございます) 旧年中(日本在任中)は数々のご指導を賜り、本当にありがとうございました。本年もよろしくお願い致します。(ちょっと離れていますが・・・)赴任前は、いろいろとありがとうございました。予定通り、12月17日にスラウェシ島マカッサルに到着し、19日に無事任地(トラジャ県パダマラン農園)に着任致しました。この通り、やっと当地での登録もできメールアドレスも取得しました。今後は、月に2回程度は、メールの受発信をするようにしたいと思っています。本当のメール(手紙)のつもりで、東京の様子やCS研究会、あすか倶楽部の活動の状況など、お送りいただけるとうれしく思います。

仕事の方は1月19日まで前任者との引継ぎを行い、本日20日から山で一人の生活が始まりました。こちらの新年は、1月1日のみが祭日でお休みですが、12月31日までと1月2日からは平常通りの業務(07:30〜15:00、実質は18:00頃まで)です。仕事の引継ぎも順調に終了し、農園での生活も少し慣れてきましたが、気候(1日の気温変化やスコール)、虫刺され(日本の虫よりも毒性が強い)への身体の耐性、食事の味付けなどの女中の教育、等これから自分の生活ペースを少しずつ作っていかなければならない状況です。

農園には電話線がありませんので、日本とのメールは月に2,3回ランテパオの町(農園から車で40分の距離)へ下りた時にできるだけです。その町の通信インフラも非常に細いもので、2,3分間のメールはなんとか繋がっていますが、いつ切れるか分からない状態です。よって写真を添付して送信するのは厳しいのですが、皆さんにこちらの生活を少しでもご紹介したく、なるべく写真を送信しようと思っています。(邪魔だったら捨ててください)

お時間がありましたら、返事を書いてください。(とても楽しみです)ただし、こちらでの受信が難しいので、お手数ですが返信にはこちらからの送信文は添付しないで下さい。よろしくお願いします。こちらの生活の様子は、追々お伝えしていきたいと思います。今後ともよろしくお願い致します。

〜農園の風景〜左の写真は、「宿舎」  右の写真は「工場」

 

No.2 2002年2月1日 「トラジャでの日常生活」

皆様、東京は寒い日が続いているようですが、いかがお過ごしですか?(NHKの海外向けBS放送でニュース・天気予報を見ているのです)こちらは本格的な雨季で、今の時期は毎日夕方から明け方まで雨が降っています。弱い雨の日は良いのですが、東京だとニュースになりそうな強い雨が時々あり、農園の内外で崖崩れ(道路が下の地面ごと地滑りする)が発生します。先週もブルドーザーを雇って道の修理(一部は新しい道を造る)をしました。

日常生活の様子を少しご紹介します。
朝6時起床。(飼っている鶏の声)他に犬が2匹とオームが1羽。
6時半、朝食。(食パンか、おかゆか、蕎麦)
7時、事務所へ。(始業は7時半)
11時、昼食。(11:45から連続テレビ小説の再放送を見る)
日本とは1時間の時差。
15時、終業。(普通は18時頃まで事務所にいる)土曜日は12時半、終業。
18時半、夕食。その後、お風呂に入って、NHKを見ながらビール(ビンタン)を2缶飲む。
22時か23時、就寝。
というような、極めて規則正しい生活パターンです。この1ヶ月で、3kg体重が減りました。

日曜日は、お手伝いさん達(21才と17才の二人)が午前中教会に行くので、13時頃から一緒に町へ買い物に出かけます。(1週間分の野菜、卵、果物など)こちらの運転免許を買いましたので、自分で運転してもよいのですが、今のところ社員宿舎に住んでいる社員に小遣いをあげて運転手をさせています。肉、魚、調味料などは、1,2ヶ月に1回、2泊3日でマカッサルの街(車で8時間)へ買出しに出かけます。

健康のために毎食果物を食べていますが、町で買える果物は、
・パパイア(果肉がオレンジ色のものと、黄色のものがある)
・マンゴ(大きさが違う3種類ほどの品種がある)
・アボガド(樹で熟したもの)
・ランブータン(時期の終わりかけ)
・パイナップル(小ぶりで、とっても甘い)
・バナナ(何種類もある)
・スイカ(ラグビーボールのような形と大きさ)
・リンゴ(日本に比べ、小粒で、値段が高くて、おいしくない)
・そして、王様「ドリアン」、これからの約1ヶ月が旬です。

今回は、この位で、またお便りします。


左の写真は、「農園風景(写真に写っているのは、農園全体の15%程度の広さです。)右の写真は」「、コーヒーの樹」

No.3 2002年2月22日 「ランテパオの町の紹介」

皆様、東京は春に向かっているようで、花粉症の季節がやってきたようですが、如何お過ごしですか?こちらは今年の収穫期(農繁期)を前にして、除草、施肥などの作業と工場の機械整備などに日々追われていますが、適度な降雨と日照に恵まれ、たわわに実ったコーヒーの青実(完熟すると真っ赤になりチェリーと呼ばれます)は、日一日と膨らんで順調に育っています。農園から車で約40分、このメールを受発信している毎週買い物に降りるランテパオの町の様子と物価を少しご紹介します。

トラジャ県内最大の商業地であり観光拠点となっているランテパオの町(人口約40,000人)では、中心地にスーパーらしき店(日本だと雑貨屋)や観光客相手のお土産屋の他に、野菜、果物、魚(車で2時間位離れたパロポという漁港から来た魚や地元で獲れた鯉)などの露店が常設されています。その他に、トラジャ県は基本的に田舎ですから、ランテパオの町も含めて、六日市が開かれています。六日市というのは、6ヶ所の町(村の中心地)で毎日順繰りに開催される商業市のことで、食料から日用雑貨、高い物では「水牛」まで売られています。こちらでは「水牛」は死者が天に上る時の乗り物で、葬送儀礼には欠かせないものであり、地元の人達にとっては「財産」となっています。高いものでは、Rp..(ルピア)60,000,000.-を超えるものもあります。

現在の為替レートでは、1$=Rp.10,000.-程度です。ちなみに、日雇い労働者の日給が、Rp.15,000.-、当社の課長クラス(地元では高給取り)の月給が、Rp.6〜800,000.-です。
主な食料・日用品の物価は、次の通りです。

米(地元の最高級米) Rp.4,000.-/g
卵                                               
Rp..600.-/個
鶏肉(処理済冷凍品)               
Rp.30,000.-/羽
食パン(薄切り10枚)            
Rp.2,500.-/半斤
砂糖(ザラメ)                           
Rp.4,500.-/kg
塩(未精製)                             
Rp.6,500.-/kg
キャベツ                                 
Rp.2,500.-/個
にんじん(15cm程度)                
Rp.1,500.-/4本
ジャガイモ(メイクイーンに似ている)  
Rp.4,000.-/kg
玉葱(とっても小さい)               
Rp.15,000.-/kg
パパイア(デザートとして8食分) 
Rp.10,000.-/個
洗濯洗剤(粉)                          
Rp.9,500.-/kg
石鹸(LUX)                              
Rp.2,000.-/個
電球(60W)                              
Rp.4,450.-/個
電池(単3)                              
Rp.1,000.-/個
缶ビール(330ml)               
約Rp.140,000.-/24缶(店によって違う)
タバコ(マルボロライト)       
Rp.5,750〜7,000.-/個(店によって違う)
ガソリン                                  
Rp.1,550.-/g
軽油                            Rp.1,150.-/g


基本的に生活必需品は安く、贅沢品(パン、ビール、タバコなど)は高くなっており、日本とはかなり違っています。また、定価が商品に明示されて店頭に置かれている店は少なく、多くの商店や露店では価格交渉(値切り)が可能です。当然、日本人(金持ちと思われている)に対しては、ふっかけてきます。私も食料品などの購入は、お手伝いさん達に任せています。輸入缶詰、お菓子類(ビスケットなど)、インスタントラーメン(種類豊富)などの加工食品にはきちんと品質表示がありますが、大半のものは自分で見て品質と価格を納得して購入するという買い物の基本通りであり、日本のように大手食品会社による不当表示で消費者が知らずに騙されることはありませんが、こちらに見る目がなれけば低品質の物を高価に売りつけられるはめに陥ります。こちら(スラウェシ島)では、まだ冷凍・冷蔵流通が完備されていないので、日本人が健康的で日本的な生活を営むためには、品質の良い肉や魚と調味料を入手する(ランテパオには無い)必要があり、月1回のマカッサルの街への買出しが必要なのです。今回はこのへんで、またお便りします。


「ランテパオの中心地」と「ランテパオの露店」


No.4 2002年3月6日 「トラジャでのゴミ問題」

日本は雛祭りも過ぎて春らしくなってきているようですが、皆さん花粉症は大丈夫ですか?農園のコーヒーは少しずつ赤実(チェリー)が増えてきました。今年は収穫時期のピークが5〜6月になりそうで、例年に比べ約1ヶ月位早そうです。

前回の「トラジャ通信Vol.2」でご紹介した物価に一部誤りがありましたので、訂正致します。
 誤  <食パン(薄切り10枚)       Rp.25,000.-/半斤>
 正  <食パン(薄切り10枚)       Rp.2,500.-/半斤>
と言うことで、ゴメンナサイ。

日雇いの日給Rp.15,000.-より食パンが高いわけないですよね。それにしても、食パンが高級品であるのは、事実なのです。町での買い物は一店舗で大量に買う場合は、ダンボール箱に入れてくれますが、普通は日本で言うスーパーバック(黒色かピンク色)が一般的に使われています。このスーパーバックがゴミになるのです。日本と同様に、こちらインドネシアでも「ゴミ問題」がクローズアップされてきており、ジャカルタなどの大都会では不燃ゴミが市内の川の上流部に大量に投棄され問題になっています。トラジャのような田舎でも、ランテパオのような町ではゴミの収集方法が一部の知識のある人達の間で、問題になってきています。現在は毎日1回の収集(県の事業)が決まっていますが、実際にはなかなか収集車が来ないのが実情です。家庭ゴミは分別されておらず、収集後もそのまま集積地に投棄されるだけで、焼却は行っていません。(一部は、各家庭で個人的に勝手に燃やされています。)農園でも、以前はバナナの葉で包んで持って来ていたお弁当をスーパーバックに入れてくるようになり、インスタントラーメンの袋(農園内で昼休みに調理して食べる)と同様、腐らないゴミが増えてきて困っています。圃場に捨てられると、作業の邪魔になるし、そのまままとめて埋めると後で豪雨の時に土砂崩れの要因になります。そこで現在は、汚染の問題が気になってはいるものの、農園内の各作業小屋毎に周辺に穴を掘らせ、そこに集めて焼却しています。設備の無い僻地の山の中で、コストを掛けずに効率良く、しかも環境にやさしい処理方法があったら、ぜひ教えてください。


棚田


No.5 2002年3月31日 「崖崩れと急にカリマンタン」

東京は例年にない早い桜の季節を過ぎ、いろいろな新一年生が街に溢れる時期ですが、皆様如何お過ごしですか?トラジャはまだまだ雨季の真っ最中で、特に3月は酷い雨が数回降りました。首都ジャカルタの大洪水をはじめ、インドネシア全土が異常気象のようです。

3月は公私共に忙しく、中々「トラジャ通信」が書けませんでした。と言うのも、日本(東京)の生活では体験できないような出来事が日々起こっていたからです。その内から、皆さんに、二つご紹介したいと思います。

※崖崩れ

私の住んでいるパダマラン農園はランテパオの町から車で約40分ですが、町から南東へ延びている一般道から農園に向かって約6kmの山道を登って、農園の正門へ着きます。この6kmの道路は、農園の開発当初に開墾の責任者であった清野農園長(当時)が切り開いた道で、清野道路と呼ばれています。農園で必要な資材・燃料等の搬入、製品の搬出、そして住んでいる私の食料・生活用品の買出しも、全てこの道路を使っています。3月中旬の豪雨で、この道路が崖崩れにより通行不能となりました。高さ約20m、幅約30mにわたり土砂が崩れ落ち、徒歩で通行していた二人(地元の先生と農園の日雇い)が巻き込まれて崖下に約10m程転落しました。(幸い二人とも軽傷でした)

県の公共事業局のパワーショベルが来て、一旦は通行可能となりましたが、その2日後の雨でまた追加崩落が発生し、再度大きな石と多量の土砂が道路上に堆積し、まだ車は通れない状況が続いています。地元の人々は崖崩れ箇所を徒歩で通行し、直ぐ下まで来ている乗合バスを利用して町へ降りています。私は農園の別の出入口から町へ通じる道(雨が降っていなくて、四輪駆動車ならば通れるが、一般車両やトラックは不可)を使用して、町へ降りています。(約1時間15分)

県のパワーショベルは、県内の他の崖崩れ箇所の修復に行っており、いつまでも待っていられないため、地元住民と農園の日雇いでなんとか復旧させるつもりですが、地元住民は食事やタバコを用意しないと集まってこないのが現状です。「皆の道だから、皆で直そう。」と言うような考え方が、基本的にありません。「トアルコ社が困るのだったら、金を出すだろう。」位に思っており、県の役人も同じ考えなのです。だから、こちらから県に復旧作業を依頼すると損なのです。

※急にカリマンタン

雇っていたメイドの内、若い方の子(17歳)が急に辞めたいと言い出し、辞めてしまいました。話しを聞くと、親戚が「いい仕事がある」と親元へ呼びに来て、カリマンタン(旧ボルネオ)へ行くと言うのです。確かに、メイドの給料というのは、一般的な日雇い労働者(肉体労働)よりも安いのです。しかし、部屋があり、ベッドもテレビもあり、食費はただで、水はあるし、ガスも、洗濯機もあるのです。こう書くと、皆さん「何を言ってるんだ。」と思うでしょうが、トラジャの一般的な農家では、一部屋にゴザを敷いて、多くの兄弟(一般的に5〜7人)が一緒に寝るのです。当然電気は無く、水は汲みに行き、洗濯は共同の水浴び場でするのです。薪を拾ってきて、火を熾し、そして家の周りの畑から野菜(芋の葉など)を取ってきて、調理するのです。だから、日本人の宿舎のメイドは、とても恵まれた環境なのです。それでも、親も本人も、高い給料に惹かれて、遠く離れた島へ出稼ぎに行ってしまうのです。社員に頼んで、替わりの子を探してもらい、高卒(18歳)の子が見つかりました。5人兄弟の末っ子で、上の学校へ行くお金が無いので、農園に収穫の日雇いで入ろうと思っていたそうです。トラジャの人達は教育熱心で、最近は日雇いでも高卒が増えています。(10年前は、中卒、小卒が多かった)でも、高校を卒業しても、地元に現金収入になる仕事が無いので、農園の日雇いに入ってくるのです。もちろん、メイドは誰でも良いという訳にはいきません。まず、きれい好きな子。日本人とは衛生観念が大きく違いますから、基本的に掃除をきちんとやる子に、少しずつ教えていくしかないのです。ましてや、調理に関する衛生観念は、日々教えるしかないのです。そして、正直で、よく報告する子。日本人の持ち物は、こちらでは全般的に高級品ですから、盗みをするような子(本人は、「たくさん持っている人は、分けるのが当たり前」という考え方で、悪いという意識が無い)では、一緒に暮らせません。また、間違って物を壊しても、怒られるのが怖くて、黙っている子も、困るのです。

このように、新しいメイドを探して雇い、教育していくのは、かなりのエネルギーが必要なのです。(でも、自分の健康と、少しでも快適な生活のためですから)

☆4月からは本格的な収穫の季節になり、8月の終わり位までは、忙しい日々が続きます。今月はこの位で、またお便りします。


がけくずれ

メイド

もどり